お菓子な塔 -終-
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…お兄ちゃん」
赤ずきんはにじり寄ってくる。
「なんだ」
「お兄ちゃんは自分がどこの誰なのか、知ってる?」
「……興味ない」
「ウッソだぁ♪ 答えるまでに数秒間があったよ♪」
「………それで?」
「お兄ちゃんもそうだけど、この世界にいるみーんな、"不完全品”なんだよ。
出来損ないのゴミクズなんだよ」
「この世界にいる全員って…僕もですか!?」
「あぁ〜ピノキオはいいのよ? だってピノキオは不完全なのか完全だから、アハハハッ♪」
「うぅー」
「だからね、お兄ちゃん。
ボクは完全な存在になりたいの。ゴミクズなんかじゃない…"お父様”に認められたいの」
赤ずきんの真剣な表情…初めて見たかもしれない。
"不完全な存在”か。確かに記憶のないただの肉である俺は不完全品だろう。
だが"完全な存在”とはなんだ―? "お父様”って誰だ―?
「……で、次はどこに行くんですか、赤ずきんさん」
「あっち!」
元気よく赤ずきんが指さすのは東の方向。ネオン色のライトが照らされている場所だ。
「あちらは確か…竹林地帯ですね。ここよりも怖い事がありませんように〜〜」
「それは死亡フラグか? ピノキオ」
「もぉー怖いこと言わないでくださいよー、ツギハギさん!」
「そうか」
「ルンル〜ン♪」
楽しそうにスキップする赤ずきんの後ろを歩きながら、次の敵が待つ領地へと向かう。
ピノキオではないが、確かに面倒事は嫌だな―
―To be continued−
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