木暮の過去
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る。
「待って!ねえお話しよ?」
春奈の言葉に木暮は立ち止まり少し考えた後、ベンチに腰掛けた。
「なんでさっき辞めて出て行ったの?」
「だって取れないし、あいつら俺が取れないのを見てどうせあざ笑ってるんだ」
木暮の言葉に春奈が答える。
「そんなことないよ、垣田さんたちは木暮くんの居場所を作ろうと一生懸命考えていたよ!」
「そんなのどうせ見せかけだ!心の奥では俺のこと馬鹿にしてるんだ!」
春奈は木暮のその言葉を聞き立ち上がり叫ぶ。
「なんでそんなに信じようと思わないの!?みんな本当は木暮くんのこと心配してる、気にかけてる、大好きだよ!でも、木暮くんがそんなんじゃ、みんなどうしようもないんだよ!!」
木暮は春奈の迫力に押されながら、こう下を向いて呟いた。
「大好き??そんな言葉まやかしだ?」
木暮のその言葉に春奈は悟った。
「あいつも俺を捨てる前にそう言っていた!その結果がこれだ。信じても、裏切られるんだ?!」
木暮はベンチから立ち上がり春奈に向かい叫ぶ。
「お母さんのことだよね?」
「えっ??」
お母さんと呟いた春奈に木暮は驚きが隠せない。
なんでそのことを、と言いたげな顔だ。
「ごめんね。垣田さんから聞いてたんだ」
木暮は眉間にしわを寄せてさらに言葉を続けた。
「あいつは親なんかじゃない!あいつは俺を捨てて行きやがったんだ。しかも、大好きなんて大嘘をついていってな?、だから俺は大好きなんて言葉が大嫌いだ!」
春奈は木暮の話をしっかりと聞き、それでもなお話す。
「嘘なんかじゃないよ、お母さんは木暮くんこのこと大好きだったと思うよ」
「うるさいうるさいうるさい!!お前に俺の何がわかるってんだ!!」
木暮のその言葉を聞き、春奈もベンチから立ち上がり木暮に話す。
「?わかるよ」
「え?」
予想外の返答に木暮は驚く。
春奈はそんな木暮を見ながら自分の過去を話した。
「私もね両親がいないんだ。小さい頃に飛行機事故で亡くなっちゃって?、私とお兄ちゃんは二人きりになったから孤児院に送られたんだ。私たちはそこで別々の家族に引き取られたんだ」
木暮は初めて自分と同じような境遇の人と出会ったからだろうか。
先ほどとは違い、口を閉ざしてしまった。
「でもね、みんなが支えてくれた」
春奈の言葉に木暮が顔を上げる。
木暮が見上げた春奈の表情は明るかった。
「なんで、そんなに明るくいられるんだ?」
「一人じゃないから」
春奈は木暮に向かい言い切った。
「俺は一人だった、捨てられてからずっと?」
「ううん、みんなが傍にいたよ。木暮くんは一人じゃない」
春奈の言葉に
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