第六話 退かぬ意志は引き金となり
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ください。貴方、死にますよ」
「それを言うならあんたもだ! ノイズ相手に生身で突っ立ってるなんて馬鹿か!!」
だが少年はそれを聞かない。“あの時”みたいに都合よく変身が出来る確証なんて無い。
しかし少女――星海凪琴は知っていた。“あれ”は自分に指示を出す者が操っていると。だからこそ、凪琴はこの少年が酷く煩わしく感じてしまった。
あまつさえこの少年はマリアの宣戦布告の際、気まぐれに命を拾ってやらなければ今頃その身を炭素へと昇華させていた矮小の身。それが、今こうして手を引かれることの何たる屈辱か。
力があるからではない。主に持ち合わせている覚悟にこそ、自分は重視をする。
それに当てはめると、彼は全く駄目だ。命を張る者ではない。
「あんたは覚えていないかもしれないだろうが、俺は一度見た。変身し、戦う様を」
覚えていた。しかも色濃く。
あえてとぼけていた凪琴の頭に、“証拠隠滅”の四文字が思い浮かんだが、その結論に達する前に、手を引く彼から言葉が出る。
「けど、それだけだ。だからと言ってあんたを放り投げておくほど、見捨てておくほど、俺もこの世の道理を知らぬ訳ではない!」
「力の無い貴方が吐く言葉にしては、随分と虚を感じられますね」
「あんた、もしかして俺の事覚えてるのか?」
「……言っている意味が、分かりませんね」
唐突に、凪琴は上空から今まさに降下してこようとするノイズに気付き、引かれていた手に力を込める。
次の瞬間、ノイズが道路に突き刺さり、平らな地面に巨大なクレーターが彩られる。
「こんな攻撃にも気づかない」
「そいつは悪かったな。けど、もうあんたに守られるのはこれで終わりだッ!」
クレーターの中から現れるは、巨大な鳥型のノイズ。目らしき部分で鳳たちを見据えていた。触れれば炭素へと昇華する悪意の結晶体。
そんな悍ましきモノへ、鳳はもう臆さない。
右手に握る覚悟と自信をノイズへと向ける。
「俺は鳳郷介。あんたを守りたいと思った男の名だ!」
意思を込め、鳳は引き金へ指を掛ける。
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