第五話 『CeAFoS』――起動開始
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「これで……終わりですね」
敵機の追撃を掻い潜り、対空砲を破壊することに成功した。予定ではもうすぐ後続が来るはず。
ライカはすぐに空域から離れるべく操縦桿を握り直した。
「……新しい熱源反応? 二機ですか」
狙い澄ましたかのようなアラート。援軍にしては遅すぎる。
既に対空砲は破壊した。こちらを追撃するより守りを固めた方が良いだろうに。
「何ですかこの機体、速い……!」
先頭を取っている機体の移動速度が尋常ではなかった。リオンやガーリオンの速さではない。『グランド・クリスマス』で空を切り裂いていたあの白銀の流星と同等、いや少し遅いくらいか。
それでも驚異的な速さだった。カメラを最大倍率にし、その機体を視界に捉える。
「AM? にしては随分とゴツいですね……」
黒と灰色の無機質なカラーリング。頭部はガーリオンタイプのように見えるが、何だか違う気がする。その証拠に、ツインアイではなく単眼なのだ。
頭から下なんて更に分からない。AM独特の“細さ”が無いのだ。PTの胴体と言っても差支えないだろう。見ただけで分かる分厚い装甲にぶら下がっている両肩から腕部もゲテモノそのものだった。
両肩は『テスラ・ドライブ』らしきものを改造してブースターユニットにしている。速さの謎にはこれも一枚噛んでいると見て良い。
胴体よりも太い腕部の先には三本爪があった。頑強そうな上半身を支えている下半身もまた頑強である。
両腰には射撃兵装らしきものがあり脚部に至っては“脚と呼んでいいのか”分からない。脚部、というより“大型ブースターユニットをそのまま脚にしているような”そんな印象を受けた。
全体的にパーツが大きく、胴体部分が細く見えてしまうのは恐らく目の錯覚だ。事実、このゲシュペンストよりも一回りは大きい。
……これまでの情報から、推測できる機体のカテゴリーは一つ。
「まさか『特機』……? マズイですね。対抗手段がない」
もし仮に『特機』ならば最悪を超えた最悪。火力が足りな過ぎる。こちらの部隊編成を考えれば、下手を打てば全滅の可能性すら見えてくる。
「中尉! 生きているか!?」
通信用モニターにクロードの姿が映し出された。ようやく援軍が到着したことと、それに伴い発生する問題に頭が痛くなってしまった。
「こちらバレット1。対空砲はすべて破壊。ですが、その直後に『特機』と思われる機体が援軍に来ました」
「何だと!?」
「恐らくこの部隊の火力では撃墜は困難。ですから……」
『特機』と分かった瞬間に決めていたこと。それは奇しくも『グランド・クリスマス』での決戦を彷彿とさせるもので。
「私が単独で『特機』を抑えます。その内に基地の無力化を」
「
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