第五話 『CeAFoS』――起動開始
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(こんな所で……立ち止まれるか……!!)
モニターにはたった一行だけ。
『CeAFoS起動開始』――それだけが表示されていた。
「『CeAFoS』……!?」
シュルフツェンの機体情報が更新されていく。初めて起動した時と同様に各所ハッチが開き、スラスターが露出する。次の瞬間、情報の海がライカを呑み込んだ。
「――――!!?」
ほぼ無意識に操縦桿を倒していた。連動するようにシュルフツェンの肘裏の二連ブースターが起動し、振り解かんと抵抗していた力を更に倍加させる。
「……ヤクトフーンドの握力を?」
この状況は“見覚え”がある、恐らくアルシェンは――。
確信めいた予感を感じつつ、ライカは視界に収めていない右の空間へ持ち替えたばかりのバズーカを向け、引き金を引いた。
「何だ? どんなマジックだ?」
偶然にもその弾道は“一つ眼”の影から飛び出してきたアルシェン機への直撃コース。アルシェン機は何を考えてか、左手を翳した。すると、青いエネルギーフィールドが掌を覆い、バズーカの弾頭を“受け止めた”。
〈良くもまあこの土壇場で当てれるな畜生ォ!〉
ライカは弾頭を見ていなかった。恐らく当てられていて、爆風でセンサーにダメージがいっているはずだ。
次に――次に――次に――次に――次に――。
「動きが変わった? ……“お目覚め”という事ですか」
驚異的な運動性能で“一つ眼”は難なくシュルフツェンの死角を取り、三本爪を開いたが――。
(分かる……分かる……分かる……! 勘以上の何かが私に指図してくる……!!)
まるで爆発でもしたかのように左肘裏の二連ブースターが火を噴き、一瞬で百八十度転回を行い、再び“一つ眼”を視界に入れる。もう片方のプラズマバックラーに雷が灯り、二連ブースターが推力を与える。
その瞬間、“一つ眼”の運動性能を超える踏込で、シュルフツェンはステークを“一つ眼”へ強引に捻じ込んだ。
一発、二発、三発と帯電されたプラズマが次々に爆ぜていく。貫けはしなかったものの、少なからず痛打を与えられたようだ。
「……アルシェン」
右肘裏と左脛のスラスターで強引に向きを変え、シュルフツェンは離れて射撃をしていたアルシェン機へ突撃していく。
(……くそっ! 意識と無意識が混ざり過ぎている……!!)
回避機動をしているつもりなのに、『CeAFoS』が無理やり補正しているせいで弾丸にぶつかりにいっているようなお粗末な動き。分かっているのに、修正が出来ない。
すぐに思考が“次”へ塗り潰される。
――キモチワルイキモチワルイキモルワルイコワスコワスコワス。
頭がそれだけしか考えられない。操縦桿から手が離せない。
(私が
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