第五話 『CeAFoS』――起動開始
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それでいいのかもしれないですね」
答える代わりにライカは引き金を引いた。アサルトマシンガンから吐き出される弾丸の行く末を見守る暇もなく、二機から距離を取る。
“一つ眼”とガーリオンはすぐにこちらを追ってくる。
「はっ! 物怖じしない性格だなオイ!」
的を絞らせない機動で動いては際どい位置へ弾丸をばら撒いて来るガーリオンをやり過ごしながら、“一つ眼”を視界に収め続けることも忘れない。
アルシェンと言う男は中々に狸な性格らしい。あれだけこちらを挑発するようなことを言って好戦的な性格を思わせておいて、その実、彼は非常に慎重なようだ。
どうやらアタッカーが“一つ眼”でバックがアルシェンらしい。機体性能的に頷けるといったら頷ける。
こうしている間にもクローアームを振りかざしてくる“一つ眼”の背後からこちらの退路を断つような絶妙な援護射撃を行ってくる。当然反撃しているが、攻撃を受けているのは装甲が分厚い“一つ眼”だ。
全く同じ箇所を狙い続けて、やがては弾丸が通す――のような神業が出来ればいいのだが、生憎と自分にそのような技術はなく、空しく跳弾するだけ。
歯噛みしつつ、武装パネルの残弾数を視界に入れる。バズーカが残り五発、アサルトマシンガンが残り二十七発。プラズマバックラーに充てるエネルギーにはまだ余裕がある。
――結論としてはこのまま長引くとこちらが死ぬ。
ついさっき出てきたガーリオンは論外として、“一つ眼”に至ってはクローアームに内蔵されている機銃やレールガンを撃ち尽くしたとしても強力無比な三本爪がある。
「逃げる算段か?」
「しまっ……!」
胴体に被弾。角度が浅かったせいか貫通はせずに装甲を削った程度。行動に支障はない。時間にして数秒。
ライカがダメージを気にした時間がそのまま事態を悪化させることに繋がってしまうことになった。
「賞賛に値します。私とアルシェンを相手に良く防戦を繰り広げましたね。こうまで生き延びられる人、そうはいませんよ」
“一つ眼”の両の三本爪がシュルフツェンの両腕を掴んで離さない。被弾で体勢を崩したところを“一つ眼”の圧倒的な推力で接近されてこられては逃げようにも逃げられない。
操縦桿をいくら動かしても機体は反応を見せてくれない。万力で挟まれたようだ。――文字通り、手も足も出ない。
(まだ……まだ……!)
普通なら既に抵抗を諦めているところなのだろう、しかしライカはその“普通”とは違っていた。電力を腕部の方に回したり、脚部のスラスター出力を上げてみたり、何としてでも抜け出そうとする決して自棄ではない努力があった。
(負けられるか……! 私はまだ、自分の戦いが出来ていない……!)
モニターの片隅で新たなウィンドウが現れた。
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