第五話 『CeAFoS』――起動開始
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だ基地の制圧に時間はかかりそうだ。
それの意味する所とは一つ。
(……風向きが悪くなってきましたね。いや、元からですか)
絶望的な“時間稼ぎ”が始まろうとしていた。――その時、ライカはまだモニターの隅に映し出されていた文字に気づいていなかった。
――『CeAFoS』起動準備――
◆ ◆ ◆
現在、ライカの状況は最悪を超えた最悪。
一機だけならどうにかなるのかもしれなかったのだが、今しがた王手を掛けられてしまった。
「貴方達は……何者ですか? 他と動きが違いすぎる」
その問いは応えられることは無く、代わりにこの状況で場違いとも言えるような台詞が飛んできた。
「たった七分で対空砲を八門落としたのが女か! 末恐ろしいな」
「……質問に答えてください」
「時間稼ぎか、灰色のゲシュペンスト? 心配しなくても基地の制圧をしている奴らにはちょっかい出さないって」
「……傭兵か何かですか?」
声だけで通信していてよかった。この冷や汗を見られたら一気に持って行かれるところだった。緊張を追い出す意味を込め、大きく息を吐き、ライカは思考を開始する。
まず確定したのは、“この二機は基地の正規メンバーではない”ということ。金を貰って仕事をこなす傭兵であることに間違いはない。傭兵はそう珍しい物ではないのでさして驚きはしない。
『DC戦争』、『L5戦役』、『アインスト事件』等など……。払い下げの機体や古くなった機体を《《偶然》》手に入れることなど難しいことではない。
その証拠に、『ガイアセイバーズ』に傭兵がいた。……今はもうこの世にいないが。――そう仮定して、不審な点が一つ。
(あの機体性能……。どこかが彼らをバックアップしていることはほぼ間違いない。『ノイエDC』? ありそうなところでは『イスルギ重工』。……大穴で、『マオ・インダストリー社』)
とはいえ、マオ社は有り得ないだろう。何せ扱っている種類がPT寄りだ。あの黒いガーリオンの完成度は叩き出せないだろう。
しかも、トップは『鋼龍戦隊』と共に戦っていた元PTXチーム所属という。
「傭兵って言えば傭兵だな。ほらいるだろ? 平和な世界に退屈している思春期にありがちな病気を患っている奴が。そんな奴だ俺たちは」
「ふざけているんですか?」
「ふざけてないさ。モチベーションは高いままだ。そうだ自己紹介をしていなかったな。俺はアルシェン・フラッドリー。階級とかは特にない」
「名前など……!」
「アルシェン。余計な時間を取らせないでください」
“一つ眼”がクローアームをこちらに向けてきた。ロックオンアラートが鼓膜を揺らす。
「灰色のゲシュペンスト。私の見当違いかもしれない、ですがそれなら
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