第五話 『CeAFoS』――起動開始
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“一つ眼”は右腕部の三本爪を振りかぶる――。
「うっ……!」
拮抗できたのは一瞬。マシンパワーが違いすぎる。
弾き飛ばされた機体の姿勢制御を行いつつ、G・リボルヴァーを弾切れまで撃ち続けた。しかし悲しいかな、関節部には当たらず、むなしく跳弾するだけ。
“一つ眼”がまた向かってきて、左腕部を突き出した。今度は三本爪が閉じられ、ドリルのように回転している。
「意図した訳ではないでしょうに。……それを差し引いても良い反射ですね」
弾切れのG・リボルヴァーを盾にして防げたのは生存本能の為せる業と言っても良かった。だが安堵もしていられない。
着実に銃身を削ってきている左腕部はそのままに。今度は右腕部もドリルのように回転させながら突き出してきた。
離れれば正確な射撃、近づけば強力な格闘戦。機体もそうだが、パイロットの腕が段違いだ。自惚れるつもりはないが、こちらもそれなりに修羅場を潜ってきた――なのに。
(……この私が手玉に取られている)
その辺の新兵ならとっくに生きるのを諦めているだろう。だが、自分は違う。
臆せばそれだけ生から遠ざかる。退いてもその分だけ生から遠ざかる。
ならば取るべき行動は一つだろう。
(……上等。……こちらから出向いてやる)
メインバーニアを最大出力に、そして“一つ眼”の両腕を振り払うように機体を前に出した。両肩のスラスターが小破したが、気にしていられない。
左手のコールドメタルナイフの切っ先を――“一つ眼”の単眼に向けた。
(恐らくこれより後は無いというレベルの使用タイミングですね)
武装パネルを開き、メイシールが付けたナイフの“機能”を発動させる――!
コールドメタルナイフの刀身は“一つ目”の頭部へ向け音もなく飛翔する。結果は――。
「驚きました。が、この子の装甲は貫けなかったようですね」
咄嗟に首でも振ったのか、単眼の横の装甲に刀身は喰い込んでいた。
(駄目……でしたか)
この奇襲が成功したら一目散に撤退していたというのに。
「やっと追いついたぜ“ハウンド”」
瞬間、コクピットを衝撃が揺らした。すぐさまモニターに機体の状態が映し出される。
どうやらバックパックを撃たれたようだ。幸い飛行に支障はない程度だが、ライカの表情は曇るばかり。
撃たれた方向の映像を取得すると、そこには艶の無い真っ黒なガーリオン・カスタムがいた。スラスターユニットが大型化され、更に機体の各所にもスラスターノズルが増設されているようだった。
恐らく基本性能を徹底的に底上げしたタイプ。
「そしてお前にもな。灰色のゲシュペンスト」
ただでさえ苦戦していたところに現れた腕利きと思われる増援。味方の様子を見ると、ま
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