第五話 『CeAFoS』――起動開始
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お前一人に押し付けるほど俺は動けない奴じゃねぇぞ! 俺も――」
「……『特機』相手が初めてだと思わないでください。奴はたった一機です。『鋼龍戦隊』に比べれば遥かに戦いやすい」
クロードが何かを言う前に通信を切った。彼は自分が何をすべきか分かっている男だ。こっちは自分の事だけ考えていればいい。
そうしている内に敵機はカメラを使わなくても目視可能な位置まで来ていた。
「――私に確かめさせてください。灰色のゲシュペンスト」
強制的に通信回線を繋がれたと思えば、その一言。こちらが返答する前に謎の機体は一方的に戦闘機動へと移行する。
「女……っ!?」
「――その声は」
謎の機体のパイロットが呟き、僅かに沈黙する。
「ああなるほど――それも運命なのでしょうね」
どこか納得したように、どこか忌々し気に。確かにそう言ったのだ。その意味を理解するのを今は置き、ライカは目の前の敵に集中することにした。
三本爪が開き、その中心から弾丸が吐き出された。接近戦と射撃戦を熟せる複合腕と見て良いだろう。
左肩のスラスターの出力を上げ、難なく避けることに成功した。すぐさまアサルトマシンガンを放つが敵機――“一つ眼”はこちらを向きつつ、機体を回転させながら縦横無尽に弾丸を避けていく。
(とんだサーカスを……!)
驚異的な運動性能。どことなく彼の『白銀の堕天使』や『妖精』を想起してしまう。そしてまぐれ当たりは分厚い装甲で弾かれている。
真正面からの撃ち合いは敗北必至。となれば狙うべきは関節部。
月並みな台詞だが、そこはどう頑張っても一定以上の補強は望めない箇所だからだ。
そんなことを考えていると、一際大きなアラートがライカの鼓膜を揺らした。
「鋭い狙い……!」
両腰の射撃兵装の銃口がこちらのコクピットを正確に狙っていた。まさに紙一重。
機体を急上昇させるのと、放たれた弾丸がコクピットがあった場所を通り過ぎていくのはほぼ同時だった。だが呆けている暇はない。
相手はデータに全くない完全な“正体不明機”。どんな些細なことでも情報を得るに越したことはなかった。
(ビームではない。実弾兵器……レールガンか。実弾兵器で纏められているのですか、厄介な)
原型機よりも装甲を増加しているとはいえ、あの威力ならば直撃はそのまま撃墜と同義。そのことを把握しているのか“一つ眼”は中々距離を詰めて来ず、嫌らしくそれでいて正確に射撃をしてくる。
「まだ……この程度じゃないですよね?」
「何を……!?」
“一つ眼”が回避機動を止め、真正面にこちらに向かってきた。迎え撃つべく、左手にはG・リボルヴァー。右手はコールドメタルナイフに持ち替えた。
的を絞らせない乱数機動で接近してきた
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