第九話「花の都」
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いのよ、魔獣だろうがなんだろうが海の王の血筋の正統な跡継ぎ、本気になれ
ば世界を水で押し流すこともわけはない。
しかし、ベルは次の瞬間のことを忘れない。
タイターニアは、怒りを沈めひしゃくをもつ腕を下ろした。それいじょうやればこの大陸を水中に没す
ることになる。
だが魔獣どもは死んでなどいなかった。まるで蟻の群れに水をかけておぼれさせてみるだけど蟻は次
の日には復活している。
魔獣もそうだった。水くらいで死ぬような生命体ではない。あれは、海岸から出てきたつまり、この大陸まで海を泳ぎきって侵入してきたのだ。熊のような毛があるのに魚のようなえらも実はあったのだ。
こいつらは、フォルノウスが造った魔導の生命である。いろんな生物の機能を備えてある。そいつらは海に流されてはじめはショックで伸びていたがまた目が覚めると起き上がったそして、タイターニアを見て、怒りに咆哮してあの炎を吐いた。この炎は水なんかで弱らない、まるで、水にふれると逆に燃え出すような炎でとても異質だ。
だからタイターニアは怒ったのだ。
しかしタイターニアは油断した。自分の実力に絶対の自信があった。古来タイターニアに勝てたもの
はいなかったからだ。そして魔獣の炎はタイターニアの胸を貫いた。
くらっと立ちくらみを起こしふらふらと体をゆらし、大地に横たわった母の姿を見てベルは怒った。気が付くと疾風のような速さで魔獣の軍勢に体当たりしてその怪力で魔獣どもをぶん回してさんざんに敗走させた。
オーベリオンはタイターニアに寄り添い、その身から鼓動が感じられなくなるのを見て泣き叫んだ。
「おのれ、フォルノウス、おまえはわが国に戦をしかけた。そして我が妻を手にかけ、あの汚らしい生
き物で森を脅かし、汚した。おのれえ、おのれえ」
そのとき、空中に声が聞こえた。
おろかなり、森の王オーベリオン、我が主は古からの実りの番人。お前ごときの知恵で森や海を友とし
その王などとははなはな片腹痛い、この地は我が国の食料を生産するために我が主が長年狙っていた地
だ。王の木が死んだいま、森の木々はわが国の従僕。いずれフォルノウス様の天下がくる。この大地な
どはフォルノウス様の崇高なるお志の先駆けに過ぎぬ、我が主には見える。おまえたち、神の後継たち
が未来、おまえたちには死んでもらう。オーベリオンよ、この世のありとあらゆる王族はフォルノウス
の名のもとに死ぬべきなのだ。あの方の崇高なお考えの下には神の後継や神話の英雄の血族など無用なのだ!
「バカな、いくら人間が愚鈍とはいえ、お前はその力で神でも気取るつもりか、我々でさえそれをせぬ
のに、おまえなどが神になればそのうち、いや、まさに
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