暁 〜小説投稿サイト〜
ネフリティス・サガ
第九話「花の都」
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「戦支度はすんだ、あとは我が夫、オーベリオンの帰還を待つのみだが、聞けば、森を熊ともつかぬ、

魔獣たちが海岸から攻め寄せているという、その海岸はマングローブの群生地だ、この森の生態系を壊

されては、この国の破滅につながる。今から軍をあげて掃討に向かう。気をつけろ、分厚い体毛の上に

は鎧がつけられ、そして獣の腕力に恐ろしい威力の炎。相手は強大。だがここは我らの庭。勝手な真似

はさせん。ゆくぞ!海岸を奴らの血で汚したくはないが手加減はするな。殲滅する!」

 するとまるで置物のように静かだった、兵たちが、剣を抜き、王妃に捧げ持つように三万本の剣が天

を突き刺す、そしてまた、剣をおろして鞘に納める、これを三万人全てが一糸乱れず行うのだ。これだ

けでこの軍がどれだけ精強かわかると思う。

かかるに魔獣といえる、その者共は海岸を黒い群れになって疾駆する。

群れになって海岸に張られた堤防は大量の屍を築きながらも群れの勢いは止まらず、そのまま堤防を

屍の上を乗り越えて進んでくる。まるで洪水のようにとめることの出来ない荒々しさにオレアノール軍

はとどめられずにほうほうで突き破られ、四散している。

「なんじゃあの化け物は、くそう。皆の者!集合せよ!一塊になってこちらも仕掛けるぞ、わたしが一

撃を放つ!その隙をついて一気に攻めあがれ!」

 タイターニアは、海王の娘。その娘はその怪力で扱えるある武器を海王からもらっている。プラトゥ

ーンのひしゃくだ、一掬いで大地を丸呑みにするほどの海の水をさらってしまうのだ。タイターニアは

片手でそのひしゃくを軽々と持ち上げて海のそこにまでひしゃくを沈ませ、くんと持ち上げると海の水

の大変な量がまるで海が膨張するように持ち上がる。

そしてそのまま、海の水が空中に大空いっぱいに持ち上がっている光景を皆は見た。タイターニアは

怒っていた。それはあの黒い魔獣たちの油やおかしな匂いの血が海を染めて魚や生き物がばたばたと死

んでいった。そしてその次に町の井戸がにごっていくのを見た。タイターニアは怒ると毛髪は、総毛立

ちまるで巨人のような威圧感を放ちだす、それはタイターニアの血の中に伝説の巨人たちの血があるためだ。

「わたしの海を汚し、水を汚し我が眷属を死なすとは、愚かな傀儡どもが死ね!死んで詫びろ!」

 タイターニアはひしゃくをひっくり返すとものすごい水がうねりとなって海岸の魔獣の群れを押し流

していった。それらがどれほどの数がいてもその洪水のような力には勝てなかった。そしてうねりが収

まり海面に魔獣たちが力尽きた様子で浮かび上がった。

ベルは思った。

これだからお母様は怖
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ