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ネフリティス・サガ
第九話「花の都」
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穏な輩が潜んでいるのがわかる。

「気をつけて、じい。森の獣がみな、いきり立っているよほど恐ろしいものが森のなかを荒らしまわっ
てるのよ」

「はい、お姫様、このただならぬ空気にわたしも昔の勘を取り戻しました」

 そこにはいつも細目でボケたことをいう、お目付け役の老人はいなかった、細い目が刃のように鋭く
見開き、周囲を一分の隙もなく見定めている。

魔獣は突然、襲ってきた。恐ろしい稲妻が閃光とともにまっすぐ飛んで、二人を襲う、しかしリリー
は跳躍して樹の枝に飛び乗り、じいは、いつもどこかに忍ばせている二刀の短刀を閃かせ、いかずちの出処に一瞬にして姿を消していた。

「さすがじいだわ、老いぼれても、元、王族配下の黒忍び衆の頭ね。わたしがジョリー・ロジャーを抜

く前に事を終わらせるなんて。ベルは構えた愛銃をホルスタ―に収めて、魔獣のところへ行くと血を払

って短刀を鞘に納めるじいがいた。

「ベルさまこれは、魔導の兵器でございます。それもかなり高度な代物です。かの古の大戦で使用され

た兵器でしょう。

 そこには明らかに熊よりも大きくまた強大な生物ならぬ生物が横たわっていた。形態からして頭は
狼、腕は熊、足は、虎で二本足でたつようだ。世界中のどんな生物よりもさらに巨大で禍々しい。

「なに、獣?肉が変だわ?それに獣のくせに鎧を着てる、こんなものを古の民はつかったの?」

「ベルさま、それが戦争というものです。これが元は何だったのかは分かりませぬが、多分、何かの獣

の肉を古の技で変異させ、鎧をつけ、火を吐くまじないを覚えさせ、兵器にしたのです。普通の人間な

ら腕の一撃で即死です」

「獣をなんだと思ってるの!?森を守る気高い種族を愚弄して、こんな無道が許されるならフォルノウ

スは天下の大悪党だわ!」

「しかし姫様、あれを侮ってはなりませぬ、あれは我々よりも七百年前から生きているのです、もはや

その知恵は人外のものです。決してあやつの罵倒を安易にするものではありません。呪いにかかります

ゆえ」

「そうね、古のまじない師は言葉にすら呪いをかけるというのを知ってるわ」

「王の木へ急ぐわよ、お父様が本気で心配だわ」

「はい!」

 森は魔獣であふれていた。もともと住んでる獣たちは歯が立たずにやられて散り散りになり、みな、

生き物は怯えている。

「あれが何千も!これは手に負えないわ、見て、森を焼いてる。神聖な聖木を何だと思ってるのこの地

を何百年も守ってきた木なのに」「獣たちが怖がっています、オーベリオン様はいずこに」

「ここじゃ」

「オーベリオン様!」

「王の木にフォルノウスめ、王の木は死んだその生命と引き換え
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