第九話「花の都」
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恋と愛は別物です。確かに
いっときは海賊王などとうつつを抜かしていました。だがそれも昔の話。今は今です。私には愛すべき夫がいますもの」
「お母様はやはりお父様と結ばれた。今わたしも同じ立場にあるのです。わたしの婚約者に身に危険が
生じているのです」
「ベル?何を言っているの?翡翠の国がそう簡単に落とされるはずがないでしょう?」
「それが王妃様」
「じいや、どういうことなのです」
「それが、翡翠の国は陥落いたしました?」
「な、な、何ですって!?どういうことなのです、詳しく話しなさい!なぜ、私に言わないのです
か!」
「はあ、もう街中その噂でいっぱいです。たぶん、知らない者は王妃様だけかと……」」
「なら、朝早く夫が森に出かけたのも」
「そうでしょう、北の国です、王妃様、七百年前の災厄は復活したのです。フォルノウスが牢を打ち破
り、七百年の封印を破ったのです」
「フォルノウス!誰か、わたしの鎧をもて、いや、あれはわたしにしか扱えぬ、ええい、ベル、お父様
のところへ行きなさい。私は城に戻って戦装束に着替えてまいります」
「お父様は王の木に剣を受け取るためにいったのです、全ての木々を守りしグリーンフィールドの大剣
を!」
「分かりました。お母様、森でなにやら変な気配がします、城の衛兵には、指示を出しておきました。
わたしがジョリー・ロジャーを持っていきますからお父様のことは安心なさって」
「あの代物には少し不安がありますが、まあ、あれも伝説の武器。お前には時が来れば相応しい武器を
やりますが、まあ、今は使い慣れた獲物を信じてお征きなさい」
「はい、お母様」
「じいや!ベルを頼みましたよ、我が国の懐刀の知恵をお見せ!」
「は、かしこまりました。このじい、命に代えましても」
「はあ、じいよ、あなたはいつも自分の命を軽く見るからいけないのですわ、じい、命令よ。絶対に死
んではいけませんよ」
「しかし王妃様、わたしももう年ですので」
「ああ、もうこういう時くらい大人らしくしなさい。しゃんとして!頼りがいがない男ね」
「すみません、王妃様」
森へいくと、やはり瘴気が漂っている。王の樹海がこんなふうになるなどベルは聞いたことがない。
「ジョリー・ロジャーよ、あなたが不吉に笑う時が来ましたわ、さあ、その力を振るいなさい!」
ジョリー・ロジャー。リリー・オルガーナ・ベルの愛銃、その銃の名のもとには富と悪名が尽きない
という。六発のリボルバーで、ベルはこれをどんな剣士よりも早くぬくという。
握りにはドクロが不気味に笑う、それを抜けば、相手には死が見えるという。
森のかげになにやら不
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