第九話「花の都」
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「ふーん、なにかおかしいわね、それに、森から魔物の気配、行くわよ、じい。早くしないとお父様が
あぶないかも」
深い森に入る前、この城下町、ククルクの町では、今日、行商人たちが海からやって来ていて母王タ
イターニアはその歓迎に自ら赴いた彼女は大変な力持ちでなぜか、黄金に彩られた美しいひしゃくを木
の葉のように持ち歩き、こと水に関しての事なら何もかもを知っている。
「はあ、やはりクルルクの井戸水は上手いですなあ、我々が長い船旅をしてもここでこうやって休める
ので遠い地まで行商にいけるのです。まさにタイターニア様の御力さまさまですな」
「うふふ、ここ、クルルクは王の木ある由緒ただしき樹海から染みだした水を井戸に貯めているのです
から、これほどの飲み物はどんな錬金術士でも作れません。我が国の民はこの水によっていつでも元気
で力強いのです」
「はあ、そういえばタイターニア様は北の国の話を聞きましたか」
「北の国?ああ、あの北方の寒い地方の小国ですか?それがなにか」
「いやいや、もうあの国は小国などとは言えません。恐ろしい魔導の力で一気に周辺諸国を飲み込み、
今や北の神狼と恐れられるほどです。あの国は怪しげな術で木々を惑わし、
侵略した国には緘口令の書かれた呪われた立て札が打ち立てられ、そこで北の国の悪口を言おうものな
らみるみる間に年老いて命を落とすといいます」
「なにやら、ただごとではないようですわね。そういえば、今日は私の夫が忙しく森に出かけて行きました。まずいことになったとぶつぶつ言ってらしたわ、少し胸騒ぎがします」
「ああ、あくまで噂ですからお気に病む事はありません」
商人は、王妃の機嫌を損ねまいとそう言い足した。
そこにベルがじいを連れてやってくる。
「姫様のおなり!道を開けよ!」数人の兵士がビシッとを道に整列してベルが現れる。
「ベル、あなたどうしたのですか?また山賊退治ですか、いいですか、山賊だってあなたに何度も痛い
目に合わされては可哀想でしょう。このへんの山賊はみんな、お前を恐れているというのに」
「母上は山賊の肩を持つのですの?」
「あなたには私の血が流れているのです。平民相手に力を震えばただではすまないのです。
いつもはペンより重いものは持ったことのないような顔をして、もうあなたくらいの年になれば、大岩
くらい軽々と持ち上げられるのですよ?」
「お母様は大海の水をひとすくいでさらってしまうくせに、お母様には言われたくありませんわ、山賊
どころか海賊にまで恐れられて、お母様を恐れない海賊はお母様の愛しの海賊王くらいのものですわ」
「私の若いころはもう海王の一人娘としての自覚がありました、いいですか
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