暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第98話 魔人ノス vs 黒髪のカラー ハンティ
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が痛烈に痺れる。追撃の一撃を剣で受ける事も出来ず、とっさにハンティは鉄の手の一本で受けたのだ。

「(無理、か……! 真っ向勝負でも倒せないのに、悪知恵の回る……ッ!!)」

 鉄の指が徐々に飛び、更には頬に朱線が走った。衝撃に目も眩む。

「くっ…パット……!!」
「くく。そうよな。余ったそのガラクタの手で脳無し皇子を回収し、飛ぶ。それしか選択肢はないであろう。……故に読み易い。儂の力…… まだ半分にも満たない事が判らぬか?」
「う、ぐぐぐ……がぁぁぁ!」

 ハンティの腕の骨に亀裂が走る。
 ノスの言う様に ハンティはパットンの襟首でも掴んで放りあげ、自分自身も この力を受け流し、逃げるつもりだった。

 そこで想定外だったのが、ノスの凶悪な力がまだ一段階増したと言う事だ。最早少しでも力を抜けば、そのまま両断されてしまう事だろう。その未来もはっきりと見えてしまったのだ。

「同胞を嬲るのは心苦しい所はあるが、な。そろそろしなければならぬ事があるのだ。力を抜け娘よ。直ぐに楽にしてやろう」
「うぎ……、だ、だれ……が……! ぐあああっ!!」

 ノスの手刀は完全にハンティの鉄の手を砕き、その身体に迫った。肩口に迫る手刀。

「もう一押しで……斬れる。自らが斬られるのをその眼に焼き付けるか? 何処まで持つか試してやろう。……くくく そら」
「!!!!」

 力が、また増した。

「(はん、ぶん……ってーのは いくらなんでも、っておもったが、嘘じゃ、なかったのか……!?)」
 
 鈍い痛みと共に迫る強大な力に意識さえも飛びそうになるが、ハンティには引けなかった。例え死ぬ瞬間が来たとしても、この手の力を緩める事はないだろう。 

 自身の後ろには、パットンがいるのだから。

「(……ほんとう、に。詰んじまった……か)」

 最後まで緩める事はなくとも、結末は理解できる。抗う術が無いのだから。瞬間移動をする為の時間もできない。いなす事もできない。最早 相手側の王手。

「さぁ……」

 それを理解したノスは、更に笑みを浮かべると。

「最後だ!」

 更に力を上げて、そのままハンティの身体を両断しようとしたのだが……、その時だった。


『二刀煉獄……』


 目の前に集中し過ぎていたからか、気付く事が出来なかった。

 ハンティの瞬間移動程ではないものの、恐るべき速度で迫ってくる二つの刃を。


「剛斬!!」

 二つの刃は交差し、ノスの手刀に衝突した。
 がきぃぃぃんっ!! と言う素手と剣のぶつかる音ではない金属音が響くと同時に、とてつもない衝撃波が沸き起こった。

「ぬっ……!」

 僅かに、本当に僅かにではあるが 拮抗した為、意識はまだ残って
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