第十五話 沼の屍竜その二
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「そうなります」
「幾ら俺達でもか」
「そうです、ですから明日はです」
「用心してだな」
「行きましょう」
ドラゴンのいる沼地にというのだ。
「そして勝ちましょう」
「用心して戦ってな」
「そのうえで」
「そうだよな、しかしこっちの世界に来た時はな」
久志は順一の言葉を聞いてからしみじみとした口調になってこうしたことを言った。
「まさかな」
「ドラゴンと戦うとはですね」
「思いもしなかったぜ」
「それは私もです」
「俺もだよ」
順一も智も久志の今の言葉に笑って返した。
「まさかこうした世界に来てな」
「こうして生きるとは思っていませんでしたし」
「だよな、どういうことなんだろうな」
「それも気になりますね」
「そうだよな」
「何かあるのでしょうが」
「何もなくて二つの世界を行き来するとかな」
起きている時は彼等本来の世界、そして寝ている時はこの世界とだ。二つの世界を行き来することはというのだ。
「そんなことはな」
「ないですね」
「あるって考えた方が自然だよな」
「その何かが問題です」
まさにというのだった。
「果たして」
「何かと気になるな」
「この世界についてもですが」
「俺達がここに来た理由も」
「気になるな」
智も言う、そしてだった。
そうした話をしながらだ、智は燻製について二人に尋ねた。
「それでどうだよ、燻製」
「これな」
久志が応えた。
「もう一週間食ってるけれどな」
「飽きないよな」
「他のも食ってるしな」
干し肉や他の獣の肉、山の中の茸や果物も食っている、三人はそうしつつここまで来たのだ。
「それじゃあな」
「飽きないか」
「しかも味もいいからな」
「だろ?いいだろ」
「ああ、熊の燻製って美味いんだな」
「調理次第で美味いんだよ」
匂いがきついという熊の肉もというのだ。
「そうなんだよ」
「そうか、調理次第か」
「燻製にしてもな」
「そのやり方で違うか」
「いぶす時に使う木とかな」
まずはこれが大事だというのだ。
「これとか煙の加減とか肉との距離、あとどれだけいぶすか」
「そういうこと次第でか」
「燻製も味が変わるんだよ」
「ただいぶすだけじゃないんだな」
「そうなんだよ、よく桜の木でいぶすっていうだろ」
「日本だとな」
「木は桜とは限らないんだよ」
それだけとはというのだ。
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