第八話「賢者の塔」
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を駆ければまるでそよ風のごとく、痕跡は一切残さない、積もった雪に足は沈まず、枯れ葉を踏んでも音は立たない。
賢明にして大知あり、西の方からやって来た最も古き良き魔法の種族。
そんなふうに吟遊詩人は歌う。
アルテミナスはエルフではないがエルフに会ったことはある。そしてエルフにいろいろな技と知恵を教えてもらっている。
エルフは気難しいが、アルテミナスを相手にする時は別なのだ。
その時だった風のに乗って声がした。
「アルテミナス、王を探して王を」
それはエルフだった。
「私達はこの地を去る。恐ろしい北の魔王が来るから、私達は滅びゆく種族、これからのこの地の未来
はこの地の者が決める。貴方はこの地にふさわしい王を探してそれが我々のせめてもの手向け」
「エルフよ、その王はどこにいるのです。翡翠の国は滅びました。翡翠の盟約の加護ももはやないでしょう。」
「今はまだ小さな星だが夜空にひときわ輝く星がある。星を読み歩みなさいアルテミナス」
「アスレイユ王子のことですね」
「いいえ、それは貴方の目で確かめるのです、まことの王とは万民の中から現れいづるからです」
彼らは知恵を持っている者を重んじる。同じだけ武勇に飛んでるものも軽んじはしない。
さてこれはアルテミナスという少女の隠れた一面あの森に迷って、怖くて泣いていた、か弱い少女は、賢者の顔を持っていた。
しかし迷いの森に迷い、そして怖がっていたのも彼女である。アルテミナスは月のアルテミナスだが、月は得てして不安を同居させる。賢者として知恵あるアルテミナスだが少女としてのあどけなさもあり、彼女の弱いところでもあるのだ。
杖持ちその道を示すにもまだアルテミナスとしての人生は浅く、彼女は宇宙のアルテミナスであるプラーナにその器を見ぬかれ、早くに月の枠へ収まったが実際は、か弱い少女であるのだ。
さてアルテミナスはアルセイユにとってどんな変化をもたらすだろうか。
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