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ネフリティス・サガ
第八話「賢者の塔」
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。まるで破壊を楽しむように。

胸糞が悪い。

機械兵の一人がこちらに気づく、砲弾を打ってくる、だがアルテミナスの杖が一瞬、光に包まれ砲弾

を打ち消した。爆炎のなかで平気で立っているアルテミナスに機械兵は少なからず恐れを抱いたそのね

じ巻き式の心臓に。

だがアルテミナスは殺生が嫌いだ。だから、杖で威嚇の炎を見せて追っ払った。

「さあ、もう翡翠の国は滅びてしまった、あれだけ深い精神性を持つ国が、くっ、北の都

ニム・イールめ、タダではおかない!」

「だ…れか」

 かすかだが人の声が見ればガレキに埋もれた人が、鎖カタピラに立派な鎧、さぞ名のある王宮騎士だ
ろう。

「大丈夫?はっ!……申し訳ないけどあなたはもう手遅れだわ、下半身がなくなっているもの」

「け、剣を私の剣を」

 よく気がつくアルテミナスはそこらを一周り見て
キラリと光る剣を見つける、その騎士の鎧と作りが似ているので間違いない。

「あなたの剣よ、握りしめて、ねえ翡翠の民はどうしたのです?まさか皆殺しに?」

「いえ、王宮騎士三人に守られて迷いの森からぬけたと思いまする。国王、女王のお二方があの暗黒の

司祭フォルノウスから民を守ったのです。自分の命をかけて国の王たるものが民のために尽くそうする

私はいい国に生まれました。翡翠の国は終われどもその魂は不滅です。いや、まだ分からない、王子が

アルセイユ様が命からがらお逃げになったとか今は小さい子供ですがあの子ならば……」

 騎士は目に希望の光を蘇らせてそのまま、逝ってしまわれた。

「騎士殿?騎士殿!くっ、フォルノウスめっ!これまでの太平の世をかき乱さんとする大敵!許さな

い。しかし王子は生きているとは、

ならばゆくべきは迷いの森、それにしてもこのローブと杖は目立つ」

 杖をかがげると、一瞬、強く白い光が瞬いて気づけば、アルテミナスは旅人のマントを羽織ってい

る。杖も剣に変えて腰に下げた。むろん目立たないように魔法で隠している。

そして、そのまま、家の影から影へ伝って
いく。
 空は炎で赤く焼け、火事で家屋は炭に、廃墟となった国は燃え続ける消えない火に包まれている。

ニム・イール、たった一晩で世界で最大の国をこうも破壊するとは恐ろしい。

機械兵も飛行機械ももはや探すべき人間を見つけられず飛行船に回収されていく。

退却か、そして補給を終えれば領地を占領と来るのだろうな。

アルテミナスはそのまま、どんどんとガレキと化した廃墟を進む。その足運びは昔の唄に残されるエルフのようだった。

金色の髪に青い目、この世のものとは思えない美しさ、肌は透き通るように白く、森
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