第六話「退却戦」
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この森は鉄と油そして血
の匂いの混ざった川の水で憎しみの心を掻き立てられ、一大決起を促すだろう」
「バラム、というと?」
「この森は翡翠の国の人々の愛によって育まれたその国の人の血が流されて怒りに燃えておるのだ、こ
の森は動く。古い森だからな、
追手は火を放つだろうがそれこそこの森を憎しみに染めることになる。よいか、翡翠の国の歴史は深く
その精神はこの地に積み重なっておるのだ、山も谷も森も川も全てがだ。くやしいのはそれらが最後に
一矢報いるところをみれないところだ。この者達は心得ている。最後の撹乱をやってのける覚悟なのじ
ゃ。翡翠の国を落ち延びる人々の最後の撹乱じゃ」
「おお、山に谷に川に森よ、それら全てよ、あなたがたのことわしらが忘れまいぞ、春には果物や樹の
実を夏には涼しい風を秋には冬を凌ぐ食べ物と薪をあなたがたは偉大だ。わしらに無限の犠牲を賭して
わしらを生かしてくれた。わしらもあなたがたを生かすために尽力を惜しまなかった。だがわしらはこ
の地を去り、そしてあなた方は最後の戦に赴く、本来戦わなくていい戦をじゃ、あなたがたに願わくば
永久の安らぎを……さらば」
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