第三章
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「部長さんのお仕事頑張ってね」
「そうしてね」
「うん、私頑張るよ」
明るい笑顔でだ。児玉も二人に応える。
「部長のお仕事ね」
「それでだけれど」
ここでだ。山縣は桂と頷き合ってからだった。
あるものを出してきた。それはというと。
「矢?」
「矢ですか」
「ええ、これをね」
三人に一本ずつ手渡しての言葉だった。
「折ってみてくれるかしら」
「はい、わかりました」
「それでは」
三人は山縣の言葉に素直に頷いてからだ。そのうえでだ。
矢をそれぞれ折る。そうしたのである。矢は一本ずつ三人に折られてしまった。どの矢も実に呆気なく折られてしまいそれで終わったのだった。
それを見てからだ。山縣はまた桂と頷き合って今度はだった。
三人にそれぞれ三本の矢を渡した。それで言うのだった。
「この話は知ってるわよね」
「はい、毛利元就ですね」
「あのお話ですね」
「そう。一本だと簡単に折れるけれど」
三人もこの話は知っていた。それで話はお互いに知っているものになっていた。
「それじゃあね。やってみてね」
「わかりました。では今からやってみます」
「この矢も」
「ええ、お願いするわ」
山縣も三人に言う。三人はその言葉を受ける形でそれぞれ三本の矢を手にした。
だがやはり折れない。どの矢もだ。
山縣と桂はここでその話を言おうとする。だが、だった。
三人はここでお互いに顔を見合わせた。そのうえでだ。
それぞれが持っている三本の矢を交換し合った。そうしてだ。
また力を入れる。それまでは少し割れ目が入っただけだった矢が完全に曲がった。それからだ。
また矢を交換し合って同じことをする。そうしてだ。
三本の矢をそれぞれ折ってしまった。それを見て山縣と桂も面喰らってしまった。
「えっ、折ったの!?」
「まさかと思うけれど」
「三本の矢、折ったの?」
「それぞれそうして」
「お互いに交換し合って折るなんて」
「そんなやり方があったの」
二人共その整った顔を呆然とさせながら三人に対して言う。
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