第二十三話 アドバイザー
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とあったのに」
「えっ、ほんとか!?」
「ホントよ。……あ、でもその時、きみ上の空みたいだったし、ムリもないかのかも」
キリトは自分が上の空だった理由に察しがついた。彼女と顔合わせした時期はおそらく自暴自棄になっていたあの時期なのだろう。
自分でも記憶が希薄な時期なのだ。覚えていないハズだ。
「というか、そんな大事なことをなんで隠してたんだよ」
「……ルリさんにはちょっと事情があってね。さっきも言ったでしょ。“元”団員だって。
詳しいことはわたしにも分からない。ルリさんもあまりこの話をしたがらないから…」
「それで、アスナがルリさんから距離を置いていた理由は気まずいからってわけか」
「えっ?ああ、うん……まあそういうとこよ……」
(あっ、それじゃないな)
苦い表情を浮かべて顔を背けたアスナに、なんとなく察しがついた。
おそらく、客観的に見て気まづい状況を口実に、ワザと距離を取っていたのだろう。
どんだけ苦手なんだコイツ、と思ってしまうが、まあ仕方ないだろう。
「け、けど、実力は本物よ。なにせあの人団長に勝ったーーあっ」
苦手なことを悟られまいと慌てて取り繕った結果、口を滑らせた。そんな感じだった。
口元を両手で覆い「やってしまった」という風な表情だ。
「はあ!?団長って……ヒースクリフにかっ?
あの《聖騎士》だぞ?」
「う、ウワサよウワサ!
団を抜ける際の条件が《団長に勝つこと》だったって話があって………実際、ルリさんは団を抜けたわけだから」
うっかりしゃべってしまったものは仕方ないと割り切ったのかーーそれでも念押ししながらーー団内の実情を話してくれた。
「その条件が本当なら、あの最強の騎士を降したってわけか……」
「……そのウワサを抜きにしても、相当強いわよ。わたし手合わせを何度かしてもらったことあるけれど、勝ち越したことなんて一度もないもの」
「ってことは、それじゃあ……」
「ええ、実質2番手だったのは彼女よ。少なくともわたしはそう思ってる」
アスナほどの実力者がここまで認めるルリというプレイヤー。
彼女の謙虚さを抜きに考えても、ルリの強さは《攻略組》に劣らない。最前線から退いたとはいえ、その実力が衰えていないことをキリトはこの身で体験している。
ーーだからこそ。
「一度、戦ってみたいな……」
体験しているからこそ、彼女の本気がどのようなものなのか興味がある。
キリトの口角は無自覚のうちにつり上がっていた。
「やめときなさい。キミでも勝てるかどうか……」
「そんなのやってみなきゃわかんないだろ?それに、わからないからおもしろいんじゃないか」
「戦闘狂………」
「え
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