第二十三話 アドバイザー
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。
でもね、原理的に不可能なのよ」
「《貫通継続ダメージ》だけでは、ですか?」
「アスナ、あなたが一番聞きたかったのは《毒》が用いられた可能性。そうよね?」
「はい、その通りです。我々の知らない毒が使われた可能性、またはその他の新たな《状態異常》にかかった可能性を聞きたかったんです」
気持ちを切り替えて復活したらしいアスナが、間髪入れずに質問を投げかけた。
アスナの考えていた仮説に、キリトは確かに盲点だったと納得した。
自分たちがあまり目にしない《貫通継続ダメージ》ばかりを特別視しすぎていて、アスナが先に述べた他の可能性を見落としていた。
そして彼女ならば、トップギルドの副長も認める《状態異常》の使い手ならば、アスナの考える可能性全てに否か応かの判断ができるはずだ。
けれど、キリトたちの望んだ答えは返ってこたかった。
「《圏内》では確実に《状態異常》は消えるわ。これはたとえ、どのようなものであっても、どのような状況下であってもよ。
上空に浮いていようが、地下にいようが、そこが《圏内》と指定されている空間では、それは絶対不変の法則なのよ」
彼女の知識と経験から導きだすこの世界のルール。最前線で戦い続け、常に未知が存在する場所を切り拓いてきたキリトたちであっても、専門家たる彼女の意見に否を返すことはできない。
「《状態異常》を使ったどの方法でも、《圏内》で人は殺せない」
そして、これがトドメの一言だった。
ふたりとも落胆の色を隠すことはできなかった。事件解決の道のりはまた振り出しに戻ったのだ。
けれど進展は少なからずあった。
「どのような《状態異常》も圏内殺人には使えない」
これがわかっただけでも収穫だ。
消極的な希望で元気を取り戻しーー言っても空元気だがーー今度はキリトが質問を投げかけた。
「じゃあルリさんは今回の事件をどう考えますか?」
「そうね……、《圏内》で人が死んだ。殺した手口も犯人の動機も不明。手がかりは武器作成者のグリムロックさんと被害者の友人のヨルコさん。
というのが今の状況でしょう?
とりあえず、事情聴取で情報を集めるしかないわね。情報が少なすぎるもの」
「ですよね……」
キリトも全く同意見だ。当然アスナもそのようだ。道のりはまだまだだが、一歩ずつ地道に進んで行くしかない。
「でもそうね、ひとつ言えることがあるわ」
改めて決意を固めた二人に、ルリは今思い出したというふうに最後の助言をくれた。
「あなたたちは《研究者》じゃない。今は《探偵》なのよ。そこを忘れないようにね?」
砂利道を踏みしめる音が響く。
ヨルコとの約束とルリが店支度をするという理由でキリトとアスナは《琉璃茶屋》
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