第二十三話 アドバイザー
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も腰を下ろし、飲みほした湯呑みを手で弄びながらルリはあらましを聞いていた。
説明を終えたアスナも茶を一口含みのどを潤した。
「それで、私に聞きたいことっていうのは、犯行手口に使われた剣についてでいいのね?」
「っ……その通りです。さすがですね」
アスナの賞賛にルリはにこりと笑みを返す。キリトもまた、彼女の察しの良さに舌を巻いた。
状況把握と自分の役割をしっかりと認識しているからこそ成り立つ判断だ。
しかし未だに腑に落ちないこともある。
なぜこの話に彼女の助言が役立つのか。
彼女の素性をまるで知らないキリトは内心で首を傾げていた。
「ルリさんは毒や麻痺。部位欠損なども全部含めた《状態異常》のエキスパートなのよ。
わたしもよくお世話になったわ」
そんなキリトの心情を理解して、アスナは今回彼女を頼った理由を“ようやく”教えてくれた。
皮肉を言ってもよかったが、完全にやぶ蛇になる未来しか見えないのでやめた。
「エキスパートは言い過ぎよ。人より少し物知りなだけ」
「そんなことないですよ。わたしも何回助けられたことか…………それに、今でもわたしたちはーー」
「……その話は、また今度にしましょう?今は目の前の事をどうにかしないといけないから。ね?」
ルリの優しい面持ちが変わることはなかったが、その言葉には並々ならぬ感情が込められていたように感じる。
これは先送りというより、遠回しの否定だった。
身を乗り出しかねないアスナの発言をさえぎり、ルリはキリトへと話を振った。
「さてキリトくん。犯行に使われた剣はどんな感じのものだった?」
うつむいたアスナの隠れた表情を気にしながら、キリトは手元にないあの禍々しい剣の形状を説明した。
「そう。なら……こんな感じのものかしら?」
ストレージからルリが取り出したものは、犯行に使われた剣同様、反り返しのついた、《貫通継続ダメージ》が付与されている剣。
現物より少し短く、深い青の色彩を放つその剣は《ギルティソーン》のような禍々しさは感じられない。
しかし、なぜだか凍てつくような空恐ろしさを感じた。色合いによるイメージなのだろうか。深海のような暗く冷たい印象を受ける。
「そうですね。元のものはもう少し長いですけど」
「へえ、これで圏内で人を、か……」
しばらくルリは自分の剣を持ち上げてジロジロと見ていた。
キリトたちはすでに必要な情報は伝えた。あとは彼女の見解を待つだけなのだが、
「うん、まず不可能でしょうね」
剣を眺めていたルリは唐突に結論を口にした。
キリトとアスナが口を開く前に、ルリは話を続けた。
「あなたたちの言いたいことはわかるわ。実際にその目で見たみたいだし
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