第二十三話 アドバイザー
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しかしそんな不思議な通路を、なんの苦もなくアスナはスタスタと進んでいく。
彼女は情報屋ではない。それはキリトが一番よく知っている。後者の可能性もなくはないが、彼女の性格と立場や仕事量の一端を垣間見たことのある人からの話を考えれば、彼女にここへ足繁く通うヒマなど皆無に等しい。
ならばなぜ、と会話ゼロのヒマを持て余した、割とどうでもいい自問自答を思考化していると周りの景色が開けてきた。
林に埋もれた場所にポツンと開いた空白地帯。そこには一軒の茶屋が営まれていた。
和の風情を感じさせる茅葺屋根の木造家屋だ。
皆がイメージする茶屋と同様、縁台に緋毛氈がかけられており、その脇には朱色の野点傘が開いて置かれている。
ここに元々あったのか、それとも建てられたのかは不明だがこの層のテーマにとてもよく似合っている建造物だ。
キリトはノスタルジックな雰囲気に浸っていたのだが、ふとアスナに視線を向ければ、
「…………なに」
「いえ、なんでもございません」
即刻彼女から視線を外しあさっての方向を見る。
さっきからずっと仏頂面だったのが、鬼すらおののくであろう恐ろしい表情へと変わっていた。
のどから出かかった悲鳴をのみこんだキリトは褒められてもいいレベルだ。
美少女は怒っても美しいというが、「時と場合による」という文言を付け加えるべきじゃないのかとキリトは恐怖混じりに思った。
この店を知っている事情うんぬんはアスナのプライバシーに関わるゆえ詮索するつもりはないが、彼女がここまで気を張る理由は知っておきたい。
その理由如何によっては、キリトの身が危うい可能性があるからだ。
気づけば、キリトは己の拳を硬く握っていた。出るはずのない手汗が滲んでいるように感じる。
店の入り口で立ち止まる二人。
互いの視線が交差する。
「………いくわよ」
「………おう」
異様な緊張感が二人を襲う。ゴクリとからつばを飲み込む。
ワンテンポ置き、アスナが口を開いて、
「ごめんくださーー」
「アぁぁぁぁスナちゃぁぁぁぁぁぁぁあああん!!!!!」
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁっっ!?!?」
「もう大きくなって〜!よ〜しよしよし。相変わらずお肌すべすべきめ細やか!あ、ちゃんとお肉食べてる?お野菜は?ご飯は?抜いてない?活力の源だからね!しっかり食べなきゃダメよ〜?でないとこの美しいお胸もしぼんじゃうぞーー」
「い、い……いぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁっっ!?!?」
「……もう、ダメ……」
時は戻り、目の前でアスナが机につっぷしていた。
急に抱きつかれたアスナはそのあとされるがまま、頭を撫でられ体をまさぐられ。
下手人の手が胸を揉みはじめたところで正気を取り
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