ペルソナ3
1779話
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奴に身分証がなくてもアパートを貸すって知り合いがいてな。そっちから話を通して貰った」
「ふーん。じゃあ、まずはそのアパートに案内して貰える? 家具とか電化製品を買うにしても、どのくらいの広さなのかが分からないと」
「言っておくけど、かなり狭いぞ? 実際、寝る為だけの部屋だし」
「となると、布団に冷蔵庫、TV辺り? 台所は?」
「一応ガスコンロがあるけど、かなり狭いから料理をするのは面倒だな」
幸い……という言い方はどうかと思うが、俺は本来なら食事をしなくてもいい。実際に俺が食事をしているのは、単純に嗜好の為だ。そうである以上、栄養とかを気にして自炊とかもしなくて済む。
だが、俺が混沌精霊である事を知らないゆかりは、料理をするのが面倒だという話を聞き、ジト目を向けてくる。
「栄養ってのは大事なのよ?」
「そうだろうな。ただ、俺の場合は栄養とかを考えなくてもいいんだよ。スキル的な問題でな」
取りあえずそう誤魔化しておく。
「ほら、それより一旦俺の部屋に行くんだろ。人目につかない場所に移動するぞ」
「……その台詞だけ聞くと、微妙にいかがわしいわね」
呆れの言葉を発するゆかりと共に、近くにある建物の隙間に入ると、そのまま影のゲートを使って転移する。
「きゃっ!」
ゆかりも影に沈んでいく感触に悲鳴を上げていたのだが、それでも今まで影のゲートを初めて使った者のように取り乱したりはしなかった。
……何だかんだと、肝が据わっているのだろう。
まぁ、初めてじゃないってのもあるんだろうが。
ともあれ、影のゲートから抜け出すと、そこはアパートの中。
4畳程の小さな部屋だけに、当然のように玄関も小さい。
いや、玄関とすら呼べないだろう。部屋に直接続いているんだし。
「……ここ?」
「ああ。これから買い物に行くのに、荷物とかは邪魔だろうから、ここに置いていってくれ。それとも俺が預かるか?」
「ううん。置いていく」
そう言い、部屋の中に入って壁際に荷物を置くと、ゆかりは改めて部屋の中を見る。
「本当に狭いわね。これだと、家具とかは殆ど置く事は出来ないじゃない」
「だろうな。だから、基本的には眠る場所って感じだ」
「……くしゅんっ! 暖房用品は何か買った方がいいんじゃない? エアコンとかは取り付け工事とかで時間が掛かるだろうし、電気ストーブとか」
電気、電気か。そう言えば光熱費とかはどうなってるんだろうな?
俺の場合は言うまでもなくこの世界に対して戸籍がないし、身分証もない。
そんな俺が、口座引き落としとか出来る筈もないし。
というか、今日ここを借りる契約をしたばかりなのに、もう電気ガス水道といったライフラインが使えるようになっているのは、どういう事か。
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