第63話<喧騒と旧友>
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。
「おう!久しぶり」
「!」
嫌だと思うと会うんだよなぁ。
ゆっくり顔を上げると、そこには私と同様、小学生くらいの女の子を連れた旧友が立っていた!
「お、おう……」
私は生返事をする。
「なんだあ! 帰ってたなら声くらいかけろよ」
彼は、やたらと元気に話しかけてくる。
「あ、ああ……悪いな」
そいつの子供は私を警戒して少し後ろに下がっている……が、五月雨や寛代も同じく私の後ろに隠れるようにしている。
艦娘の二人はどう見ても私の「子供」に見えるよな。じゃ私の背後の山城さんって、いったい誰? ……ってか。
旧友は自分の女の子を抱き上げて言う。
「おれ、実家の場所は、変わンないからサ。暇になったらいつでも来いよ!」
「あ、ああ……」
さっきから同じ返事しかしてない私だった。
「あ、お前の子供か?」
いちばん聞かれたくない所を突っ込まれる。
「えーっと」
私は返答に窮する。
そいつは私の『背後霊』も、すごく気になっているようだ。
山城さんに軽く会釈をしてボソボソと小声で聞いてくる。
「背後の人は、あれか? 奥さん?」
「……」
ハイともイイエとも言い難い状況だ。
おまけに私の背後の山城さんがモゾモゾしている感じがするし。ひょっとして聞き耳を立てているのか?
なんと応えたものかなぁ……悩む。
「アンタ、ほら行くよ!」
急に人ごみの中から、そいつの奥さんらしき女性がやってきた。
(た、助かったぞっ!)
内心ほっとする私。
「おう……、あ、こいつ、ホラ、俺の幼馴染」
旧友が私を紹介する。その女性は軽く会釈をした。
私も会釈しながら彼女を観察した……言っちゃ悪いが艦娘よりも強そうな奥方サマだよな。
改めて私は、この艦娘達で良かったかな。
「じゃ、またな」
手を振りながら、旧友の家族は人ごみに消えていった。やれやれホッとした。
地元に着任したから今後も境港の街に出れば、こういうことは頻発するんだろうな。
しかし一人に出会うと、そこから噂がドンドン広がるんだろう……ま、私は、ほとんど鎮守府に詰めているだろうから現実的には街中で出会うってことも少ないだろうけど。
「司令……」
背後の山城さんが低く言葉を発した。耳元で? ちょっと、鳥肌が立った……。
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