第4章:日常と非日常
第119話「残された謎」
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王牙は立ち上がり、そのまま休むためか去っていった。
…優しさも辛い…か。そこまで信じられないモノを見たのか…?
「(…立ち去る間際、視線を向けた先…)」
王牙は立ち去る時に、ふと視線をどこかに逸らしていた。
その先にいたのは………。
「(………二人に、何かがあったというのか…?)」
確信はない。ただ視線が偶然向いただけかもしれない。
…けど、その二人は今までと“何か”が違うと…なぜか、そう思えた。
「……これ以上は、埒が明かないな。今決めておきたい事は決まったから、これで解散とする。一応、傷が治り切っていない者は安静にしておくように」
王牙が去り、皆が沈黙した所で、クロノがそう締め括る。
確かに、これ以上何か話そうにも埒が明かない。むしろ話が逸れるばかりだろう。
クロノの判断は正解だったと言える。
「…椿、葵。後…司と奏も来てくれるか?」
「何かしら?」
「ちょっとな…」
各々が傷の治療に専念したり、それに付き添ったりする中、僕は四人を呼んで空いている部屋へと向かう。
「僕が今回、神降しを使ったのは知ってるだろう?」
「うん。それでも通じなかったのには驚いたけど…。それがどうか………って、あ…」
「気づいた?…まぁ、その通りなんだ」
神降しを使った事に関して、司は何かに気づいたように声を漏らす。
…そう。神降しには、デメリットと言うか…副作用が一つある。
「…いつ、なるのかしら?」
「前回は寝てる間にだったけど…既になんとなく自分の体に違和感があるんだよね」
「気絶中じゃなくて良かったねー」
神職者ではない僕の神降しは、椿の本体の因子が流れ込んでしまう。
その影響で、性別が変わる。前回もあったソレが、今回も起こるのだ。
「……もうあんな事はしないわよ」
「反省してるから安心してくれ。まぁ、アレ自体は霊術と演技で誤魔化すとして、皆には事前にこの事を知らせておこうと思ってね」
椿の釘差しに、苦笑いしながら答える。
さすがにあんな事は……思考が変わってもしないよな…?
「僅か3秒とはいえ、だいぶ本体と同期させたから……今度は一日では戻らないかもしれないわよ?」
「分かってる。…何人かにはばれそうだよなぁ…」
「ずっと霊術で姿を誤魔化す訳にもいかないからね」
まぁ、伝えたい事はこれで伝えた。
「……優輝君は、あの敵について何も分からないの?」
「…まぁ、な。検討もつかない。判断材料も少ないし。でも、悩んだ所で仕方ない。倒し方は分かっているんだし、後はそれを実践できるように鍛えるだけだ」
「…そっか」
あの男の謎は、まだまだ残っている。
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