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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン77 鉄砲水と五行の竜魂
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回説得すれば気が済むんだか。そこは『俺』じゃなくて『俺ら』でしょうが。

『あ、そっちなのか』
「(何があったかは知らないけどね。まあユベルもあれだけラブコール送ってたんだから願ったり叶ったりだろうし、十代がいいならそれでいいんじゃない?)」
『それで済ませるとは、何ともマスターらしい割り切り方だな』

 褒めてる……んだよね?ともあれ落ち着いた、というよりむしろ観念したらしいオネストが、彼の知るかぎりの異変について話しはじめた。それによると、今僕らの世界で起きている不良品のカード事件は、進行しつつある異変のほんの一角でしかないらしい。
 そもそもデュエルモンスターズのカードは、精霊界と僕らの世界を繋ぐ扉の役割をしている。これに関しては、少なくとも僕はすんなり理解できた。覇王の世界で壊獣が来てくれた時に、ペガサス会長から貰った白紙のカードがまさに扉となってその魂を呼び寄せたのを思い出す。カードの書き換えまでやってのけたあれはさすがに極端な例としても、大まかな原理はあれと同じだろう。だがそれとは別に、精霊界とは別の場所に繋がってしまうカードもまた存在する。それが闇の力に汚染されたカード、僕らが不良品だと思っていたあれのことだ。あのカードたちをそのままにしておくと、やがて闇の住人がこちらの世界に侵食してきてしまう。それを止めるために、オネストは自らのマスターである藤原へと実体化してまで危機を伝えに来たわけだ。
 伝えたかったことを伝えた安心感からか、ほんのわずかにオネストの表情が緩む。そのごくごく小さな隙を、奴らは見逃さなかった。何もない空間から突然暗黒の球体が浮かび上がり音もなく飛来してオネストの体に直撃、そのまま吹き飛ばした。

「何!?」
「情報共有は終わったかね?オネスト、君が遊城十代か、できることなら遊野清明の始末をして欲しかったのだが……どうやらそれも期待できなさそうだ。やはり、我々が手を下すしかないのだろう」
「ミスターT!まーたお前か!」
「ミスターT……トゥルーマンか!油断するな、そいつこそがダークネスの使者……うっ!」

 全身から煙を出しながら辛うじて攻撃の飛んできた方を向いたオネストが、相変わらず神出鬼没に表れたミスターTの顔を見て声を絞り出す。しかしボロボロの体で無理に叫んだのがよくなかったのか、そこで力尽きてその場に倒れこんでしまった。

「十代はオネストを、明日香達は吹雪さんをお願い!こいつは僕が相手する!」
「でも、清明……!」
「なにぐだぐだ言ってんの!このオネストのことを一番よく知ってるのは十代なんだから、そこに十代が行かないでどうすんのさ!」
「う……気をつけろよ、清明!」

 みんながそれぞれの怪我人を抱えて部屋の隅に散る中、僕1人が中央に陣取ってミスターTと睨み合う格好になる。
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