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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン77 鉄砲水と五行の竜魂
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向こうから来るだろう』
「専守防衛はあんま好きじゃないんだけどね。まあいいや、逃がしちゃったもんは。十代、そっちはどう?」

 言いながら振り返るとそこにオネストの姿はなく、十代が1人で1枚のカードを手にしたままうつむいていた。僕の質問に、ゆっくりと首を振る。
 ……そうか、助からなかったのか。

『そもそも精霊がこちら側の世界で実体化すること自体、たまにいる私のように特殊な例を除くと莫大な体力を消費するからな。むしろあれだけ動き回っていた上で致命傷を受けたのだから、ここまで持っただけでも大したものだ』
「オネストの魂は、俺が受け継いだ。せめて俺にできる事は、それぐらいだったからな。見てくれ、清明」

 そう言いつつ、十代が握っていたカードをこちらに向ける。そこには見慣れた通常のイラストとは違い、天使の羽根を生やして飛翔するネオスの姿がくっきりと描かれていた。

E・HERO(エレメンタルヒーロー) オネスティ・ネオス……オネストの魂を受け継いで生まれた、ネオスの新たな姿だ。この力を使って必ず、俺があいつの願いを叶えてやる」
「十代……違うでしょ?」
「え?」
「さっきも思ったけど、そこは『俺が』じゃない、『俺たちが』さ。オネストの魂を十代が受け継いだってんなら、一緒にいた僕たちだってその思いは受け継いださ。この世界も精霊界も、ダークネスなんかに売り渡したりできるもんか。それにほら、きっとみんなだって思うところは同じはずだよ」

 広間の入り口の方を指さすと、ちょうどオブライエンを先頭に夢想、万丈目、翔、剣山のおなじみのメンツが走ってはいってくるところだった。僕らのことを認識したオブライエンが、仏頂面で不平を漏らす。

「……まったく。何かやるなら、せめて行先ぐらいは伝えて欲しいものだな。お前たちの足跡を見つけるまで、随分手間取ったぞ」
「そうだぞ清明、それに十代も。この名探偵サンダーを差し置いて、謎が解けるわけが無かろう」
「アニキ達、今度は何してたんスか?急にいなくなったってオブライエンから聞いて、心配してたんスよ」
「ようやく見つけたドン。こんな気味悪い廃寮、早く出るザウルス」
「みんな……!」
「んじゃ、もう帰ろっか。もういい加減眠いし」

 気が付けば、窓の向こうからに見える空は既にほのかに白くなってきていた。いつの間にか夜が明けて、今日もアカデミアに朝が来たんだ。
 と、ここでお開きにできればよかったのだが。それはそれは重い、じっとりとした視線を背中に感じて恐る恐る振り向くと、満面の天使のような笑顔と目が合った。あ、まずい。顔は笑ってるのに、目が全然笑ってない。

「清明、汗と埃でだいぶ汚れてるよ、ってさ。一晩中何をしたらそうなっちゃうのか、いっぺん教えて欲しいなあ、ってさ」
「う。で
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