ターン77 鉄砲水と五行の竜魂
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ないという呆然とした表情のまま抵抗もせずにいる吹雪さんを片腕で持ち上げる。
「ぐ……」
「よくも、マスターを見殺しに……!」
「やめろ!」
誰よりも早く我に返り、というよりも、まるでこうなることが最初からわかっていたかのように十代がその間に割り込む。無理やり『藤原』の手を放させたところで、チャクチャルさんがポツリと呟いた。
『マスター?……なるほど、精霊か。変化だけならまだしもこの世界で実体化までしてくるとは、大した根性だ』
「精霊?あの藤原が?」
「ああ、そうだ。こいつの真の姿はデュエルモンスターズの精霊、オネスト。藤原が行方不明になる前に持っていたカードのな」
「なんで十代がそんなこと……あーいや、ごめん。聞くだけ野暮だったわ」
そもそも、藤原について最初に調べていたのは十代とオブライエンだ。たまたま僕の周りにやたら集まってくるから時々忘れそうになるが、精霊のカードは本来とんでもなく珍しい。そんな貴重な代物を藤原が持っていたのなら、それが捜査の過程で浮かび上がってきてもおかしくはない。
それより今は、オネストだ。さすがに正体を明かされるとは思っていなかったのか、虚を突かれたように抵抗を緩める。その姿が光り輝いたかと思うと、数多のデュエリストの逆転の切り札に、そしてとどめの一撃に貢献してきた羽の生えた天使型モンスターへと変化した。
「ぼくのこともお見通しという訳か。確かにこれが、ぼくの本当の姿さ」
「オネスト、お前がいくら吹雪さんを責めたって、それで藤原は戻ってくるわけじゃない。自棄になるのはやめるんだ」
「黙れ!マスターさえいれば、今デュエルモンスターズ界に起きている異変だって止めてくれたはずだ。だが、お前たち人間はそのマスターを見殺しにした!」
そう言って再び暴れ出すオネストの肩に、十代が真剣な顔で手を掛ける。瞬間、見ているこっちが叫びそうになった。十代の瞳の色が、普段の黒から緑とオレンジのオッドアイに……そしてあの全身から立ち上る黒いオーラ、あれには嫌というほどの見覚えと、同じくらい大きな苦い思い出がある。
「ユベル……!」
「そうだ、清明。お前にはいつか教えるつもりだったんだけどな、隠していたのは悪かった。とにかく、オネスト。見ての通り、俺の魂は今ユベルと一体化している。俺の中のユベルの魂が、俺に力を与えている。影丸や斎王は、お前の言うその異変の原因が俺にあると言っていた。なら、俺がその異変に片を付ける!だから俺を信じてくれ、オネスト!」
「……いいだろう」
これもまたユベルの力の賜物か、決意を秘めた顔でゆっくりと頷くオネスト。にしても十代め、今さらっと言ってた言葉、『俺が』片を付ける、ね。あくまで自分1人で終わらせるつもり、ということだろう。本っ当に頑固な親友だ、あと何
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