ターン77 鉄砲水と五行の竜魂
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「元々僕と亮、そして藤原優介の3人は友人だった。いや、このことはもう君達も知っているか。そして彼は、間違いなく才能があった。僕や亮も今ではキングやカイザーだなんて大げさな名前で呼ばれているが、彼の才能は僕らをはるかに上回っていたんだ」
ゆっくりと、吹雪さんの声が廃寮に響く。やはりどこか、昔を懐かしむような調子で。記録を調べるだけでは決して知ることのできない、僕らの知らない当時の記憶が当事者により語られていく。
「ただいつからか、彼の情熱はその方向を少しずつ変えていった。それがダークネスの研究だ。僕がようやく彼の研究に気づいた時、そしてそれがどこまで進んでいたのかを知った時には、もう手遅れだった」
そこで一度言葉を区切り、足元に落ちていたままのダークネスの仮面を拾い上げる。その仮面を、険しい目でじっと見つめた。
「彼はやがて、この仮面を作り出してしまった。闇の世界のさらに先、ダークネスの力を直接引き出すための道具を。だが彼はその代償として、自分の魂を捧げてしまったんだ。僕はそれを止めることができず、最後に彼からもう不要になったというこの仮面を渡された。それから僕はテストデュエルの最中に別の次元に飛ばされ行方不明になり、そこで生き残るためにこの仮面をつけた。その後のことは、君達の知る通りさ。ダークネスに気を許したつもりはなかったが、仮面をかぶり続けるうちにダークネスに意識を飲み込まれ、記憶も自我も録にないままセブンスターズとして立ちはだかってしまった」
「じゃあ吹雪さん、代償に魂を捧げたってことは、藤原は……」
つい口を挟んだ僕の言葉に、悲痛な面持ちで小さく頷く吹雪さん。もし吹雪さんの話通りなら、藤原はダークネスに自ら進んで心を開け放ったことになる。となると、その結末は碌な物じゃないだろう。だが、今の説明には決定的にかけているものがある。なるほど、確かにダークネスの仮面が現にこうしてある以上、まったくのでたらめというわけではないだろう。何より、吹雪さんにはここで嘘をつく理由がない。
なら、だ。万丈目たちと共に不良品のカードを回収していたあの藤原は、誰なんだ。
「ああ。恐らく……藤原は、ダークネスに取り込まれ、死んだ……」
「嘘だ!」
懸命に無い頭をフル回転させていると突然、力強い声が響いた。その声に含まれた強い怒気に、反射的に全員の視線がその場所に集中する。その顔を見た時、吹雪さんが小さく息を呑んだのが分かった。それはそうだろう、むしろその程度の反応で済んだことが不思議なぐらいだ。僕らはついさっきも彼に会っているのだからまだしも、吹雪さんにとって彼はもうすでに故人のはずなのだから。
「藤原……!」
その『藤原』が、怒りの表情もあらわに吹雪さんへと詰め寄る。そのままその襟元を掴みあげ、信じられ
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