第四話 黒い猟犬
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無機質さを際立たせていた。頭部や胴体の造りを見ても、相変わらず何の機体が基になっているのか見当も付かない。
――訂正。
聞いてはいるのだが、中々原型機と今の状態に辿りつかないのだ。
「まあ、何でも良いや。動いて、敵を撃墜してくれるならな」
「……一人で自己完結をしないでください。会話をする気が無いなら私のために黙っているという配慮が出来ないのですか?」
「うっわ言っちゃう? そういうこと言っちゃう? お前、ほんと後ろに気を付けろよ。背後からコクピット串刺しにされないようにな」
「上等です。……そういえば知っていますか? どんな腕利きでも攻撃している間は無防備になるんですよ? ……怖いですね。そんなことにならないよう祈っていますね」
「――アルシェン・フラッドリー殿、“ハウンド”殿!」
緊急用の回線が開かれ、映し出されたのはこの基地の司令。散々こちらを持ち上げ、アテにしきっている人間だった。
ガーリオンのパイロット――アルシェンは内心舌打ちをし、応答する。
「予定より早いですね。……風向きが悪い、と?」
「戦闘開始からたった六分足らずで対空砲を七門破壊された! あと一門を破壊されたらこの基地は対空機能を失うことになる!」
「もう少し早く我々に言ってくれたら、対処できましたのに」
「そ、それは……!」
「まあ、いいさ。それじゃあ吉報を期待していてくださいな」
回線を切り、アルシェンは機体の状態を再確認した。大方変なプライドでこちらの助太刀をギリギリまで渋っていたのだろう。この類は大体底が知れている。
(この基地はダメだな。トップが無能すぎた)
それよりも、とアルシェンはモニターを基地のカメラに切り替え、今現在暴れている敵機を映した。
丁度灰色のゲシュペンストがこちらのリオンを撃墜した瞬間だった。
(それに相手が想像以上にやる。ここの奴らじゃ話にならん)
「アルシェン」
「何だ?」
「確かめたいことがあるので先に出ます」
言うが早いか手が早いか。既に“ハウンド”の機体は基地の外に出ていた。
「あ、おい! “ハウンド”待て!!」
止める暇もなかったアルシェンは“ハウンド”に続く形でガーリオンのテスラドライブに火を入れる。同時に、両肩のブースターユニットの噴出口が一瞬大きくなり、すぐに小さくなる。
じわじわと推進をするための力が高まっていき、今か今かと爆発の時を待っている。
「アルシェンだ。ガーリオン・カスタム出るぞ」
アルシェンがペダルを踏み込んだ瞬間、束縛から解放されたかのように機体は基地から飛び出した。
「――さぁハロウィンと行こうか。灰色のゲシュペンスト」
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