第四話 黒い猟犬
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ぐに出られます。先行して対空兵器を潰します」
カタパルトに機体を固定させたライカは地図データを開き、偵察部隊から送られてきたデータを上書きする。
中心の山を囲むように、八門の対空砲が待ち構えていた。中々骨が折れそうだ。
――ここからは脇目も振り返らずの一点突破。
(護衛に構っている暇はありませんね……)
機体のコンディションはオールグリーン。操縦桿を握り直し、ライカは大きく深呼吸をした。
「ライカ・ミヤシロ。シュルフツェン出ます」
ペダルを思い切り踏み込み、機体は青い空へ飛び立つ。景色に浸る間もなく、すぐさま出迎えにきた敵機。
交戦はしない。時間の無駄だから。
なるべく速度を落とさないよう機体をコントロールさせるだけでもかなりの難易度なのだ。
(リオンが二、バレリオンが一。……一々相手にしていられません)
アラートよりも速くやってくる弾丸を避けながらも、ライカのシュルフツェンは最初の獲物を捉えた。対空砲は一ミリの狂いもなく、こちらの動きをトレースしている。
左右に揺さぶっても、フェイントを入れても砲門はこちらを喰わんとしていた。
(眼が良すぎるのも如何なものか)
シュルフツェンの右手にはバズーカがあった。カートリッジ込みで十二発。
今回の攻略法とは実に単純だ。精度の高さを逆手に取り、砲門へ直接攻撃を叩き込む。
特殊人型機動兵器……通称『特機』ならば実に容易く終わるのだろうが、如何せんこちらはPTだ。どこぞの魔改造品ならまだしも、量産型が持てる火力にも限界がある。シミュレートの結果、最も効率的な武装がバズーカだった。
「くっ……」
アラート。だが見えていた。
操縦桿を倒し、回避行動。即座に左手のアサルトマシンガンをフルオートでばら蒔いてやった。
だが結果はリオンの右肩を擦るだけの小破以下。
(一門あたりの時間にはまだ余裕があるけど……!)
今しがた出会った三機が鬱陶しい。リオン二機で気を引いて、バレリオンで仕留めるといった所か。さっきからシュルフツェンの両脇を着いて離れない。
このままではいずれ喰われる。
(一機……!)
砲門への照準を止め、機体を反転。狙いは……最大火力。
武装パネルを開き、その中からメイシールが勝手に付けた武装を選択する。すぐさまライカはバレリオンの腕部目掛け、アンカーを射出した。アンカーがバレリオンに食い込んだのを確認し、すぐさまワイヤーを巻き取る。
その間に左手のマシンガンを腰部にマウントし、代わりにG・リボルヴァーを持った。ライカはワイヤーが巻き取られる甲高い音で耳が変になりそうなのを我慢しつつ、機体のバランスを崩さぬように微細なコントロールを維持し続ける。
「
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