第四話 黒い猟犬
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遂行しましょう」
「良く言った」
そうだ、とライカは自分のしていた勘違いを恥ずかしく思う。
(元ガイアセイバーズが何だ。私は、そんなものに縛られないと決めたじゃないか。……今度こそ、私は私の戦いをしてみせる……!)
――作戦開始まで、後六時間。
◆ ◆ ◆
「うわっ……虫すごいな。しかも蒸し暑いし……参ったな」
「……少し黙っていてください」
島を覆う森林の海。
中心部にそびえ立つ山を見下ろしながら、二機の機体は山の近くに着陸する。すると地面がガコン、という音と共に、沈み始めた。
野鳥が一斉に飛び去っていくのをサブカメラで見ながら、二機の内の一機――艶がない真っ黒な色のガーリオン・カスタムのパイロットがつまらなさそうに呟く。
「あぁっ、この隠しエレベーターが無かったら、あいつら撃ち落とせたのに」
「発砲音と薬莢で敵にここの位置が突き止められてしまいます。それは合理的な判断とは言えないですね」
ガーリオンの隣にいるもう一機のパイロットが、実に淡々とした声で返す。いつものやり取りのようで、ガーリオンのパイロットは反論もせず、ただため息を吐くだけだった。
「あんま細かいと戦闘中に背後から撃つぞ? やるぞー、俺はやるぞー?」
「上等です。貴方こそ死角には気を配っておいたほうが良いようですね」
「おお、貴公らが今回の助っ人か。歓迎しよう」
格納庫の通路の上に、およそ四十代と見てとれる男性が二機を見上げていた。
それを確認し、プライベート通信に切り替えたガーリオンのパイロットは、もう一機へ不満をぶちまける。
「おいおい、何だよこりゃあ。完全にアテにされてるぞ」
「……怖いのでしょう。いつここに戦力を送られて潰されるのかが」
「お前の交渉術があいつらに変な希望を持たせたんだ。お前のせいだぞ“ハウンド”」
“ハウンド”は反論することもなく、こう締めくくった。
「……ならば文字通り希望になるまでです」
「希望、ね。偶像という名の希望にならなきゃ良いけど」
二機のパイロットは、どちらともなく通信を切り、今回の雇い主の元へ降りていった。
(……今回は釣れると良いですが)
“ハウンド”の口元が少しだけ、ほんの少しだけ強く引き締まった。
◆ ◆ ◆
「……」
シュルフツェンのコクピットの中でライカは一人、目を閉じていた。
己を一個の兵器とするために、彼女が出撃の度に行っている癖のようなものだ。
(『CeAFoS』。私はどこまでやれる……?)
ライカは正直、このシステムにあまり好ましい感情は抱いていなかった。否、彼女のポリシーがそれを許さなかったのだ。
(やはり断れば良かった)
「ハ
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