第四話 黒い猟犬
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った。故に、顎の無精髭がとても似合わない。
(剃れば良いのに)
「なんか言ったか?」
「いえ。何でもありません」
「そうかい。なら良い。んじゃお前ら席に着け。これからブリーフィングを始める」
そう言うと男はスクリーンまで歩いていった。その背中にライカは問い掛ける。
「あの、失礼ですが貴方は……」
「俺か? クロード・マルキース大尉だ。この任務の指揮を執ることとなる。よろしくな、ライカ・ミヤシロ中尉」
「し、失礼しました」
「良い良い。現場じゃ階級じゃなくて腕がモノを言うからな。お前のことは聞いてる。そう肩肘張りなさんな」
ライカは返事の代わりに敬礼で返した。これこそが彼女が示せる最大限の敬意だった。
「さて、と。んじゃお前らこれを見ろ」
スクリーンに映し出されたのは少し大きな島の地図だった。中央には山があり、その周りを囲むように光点が八つほど点滅している。更に赤い光点が海上に四つ、山付近に六つ点滅していた。
咳払いを一つしたあと、クロードは説明を始める。
「今回の任務はテロリストの鎮圧となる。やることはシンプルだ。敵戦力を撃破し、山の中腹にある基地を押さえる。それだけだ」
クロードは詳細の説明を始める。敵戦力、隊列、仕掛けるタイミング等、実に細かな説明が十数分に渡って続けられた。
「――と、こんなところだ。質問あるやつは?」
「よろしいでしょうか」
僅かな動揺を隠しながらライカは手を挙げた。
「何だ?」
「私がその役目で、本当に良いんでしょうか?」
念には念を。ライカはいきなりのことに自分は間違ったことを聞いていたのではないか、と自身を疑って止まない。
自分に言い渡された役目は北から島に入り、なるべく敵を引き付けつつ、配置されている八つの対空砲を八分以内に破壊すること。
要は囮と露払いの兼務。
未だ対空砲にはPTやAMを大破させられるくらいの火力がある。つまり、この作戦の生存率の高低はライカに懸かっていると言っても過言ではない。おまけにライカが引き付けている間に島の南西から仕掛ける本命のことも考えると、作戦の成否にも多大な影響を与えるのだ。
「逆に聞くが出来ないと思ってんのか?」
彼の一言に、室内の人間の視線が一気にライカへと集まった。下手に答える訳にはいかない。
ただでさえ、自分は元『ガイアセイバーズ』なのだ。そんな自分に、下手に期待を寄せさせたくはなかった。
「はぁ……。なあ、良いか中尉?」
しかし、彼の言葉で考えが変わった。
「俺が……俺達が求めてんのはやる気じゃない、確かな腕だ。……質問を変えるぞ。お前は、俺達の命握る覚悟はあるか?」
「当然です。それが与えられた信用ならば、私は確実に
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