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真田十勇士
巻ノ九十八 果心居士その十二

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「花和尚魯智深は肉も酒も口にしてな」
「戦の場では大暴れですな」
「それでも解脱した」
「ですから心得次第です」
「仙人でもか」
「肉や酒を口にしてもいいのです」
「そうなのか」
「ただ、余計な気は溜まりますので」
 果心居士はこの話もした。
「ですから食って飲んだ分はです」
「修行でか」
「出さねばなりません」
「だから仙人は生ぐさもものはよくないというか」
「左様です」
「成程のう」
「して真田様ですが」
 果心居士は幸村にさらに言った。
「仙術もされていますが」
「今の様にな」
「そうですか、しかし」
「うむ、拙者はやはりな」
「武士であられますな」
「そうじゃ」 
 まさにとだ、幸村は果心居士に答えた。
「自分でもそう考えておる」
「左様ですな、ではです」
「武士としてじゃな」
「生きられて下さい」
「そして仙術をじゃな」
「使われて下さい」
「おそらく拙者が戦に出る時はな」
 その時はとだ、幸村は果心居士に述べた。
「相当に激しい戦になる」
「だからですな」
「仙術も身に着けてな」
 そしてというのだ。
「戦う」
「そうされますか」
「そして志を果たす」
「相当に高い志ですな」
「強い約束じゃ」
 秀次のことは話さない、しかしそこには確かに強いものがあった。
「それはな」
「それではですな」
「その志を果たす」
 必ずとだ、幸村はこのことは言った。
「何があろうともな」
「ではそれがしの仙術もです」
「身に着けてじゃな」
「戦う」
「そうされますか」
「是非な」
 こう話してだ、そしてだった。
 幸村もまた仙術を学んだ、彼の仙術は筧のものとは違い専門的なものではなかった。しかしその槍や剣、忍術にだった。 
 仙術を入れていた、そのうえで言った。
「槍に炎を入れれば」
「そうすればです」
「かなり強い」
「そうです」
「槍に気を入れ」
 そしてだった。
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