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真田十勇士
巻ノ九十八 果心居士その九

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「必ずや」
「そうされよ、しかもその志はな」
 どうったものかもだ、果心居士は言った。
「純粋な、穢れのないものであるな」
「それは」
「ははは、それも目を見ればわかる」
 志が出ているその目にというのだ。
「一片の曇りもない清らかな目じゃ」
「殿もそれがしも」
「そうじゃ、だからな」
「それで、ですか」
「その志を果たされよ」
 一片の曇りもないそれをというのだ。
「それがしが授けていっている術でな」
「そうさせて頂きます」
「是非な、貴殿等なら出来る」
 幸村と十勇士ならというのだ。
「間違いなくな」
「そうですか」
「時が来れば志を果たされよ」
 果心居士の語るその目は暖かいものになっていた、彼等の志の清らかさを知ったからこそである。それでだった。
 果心居士は筧にさらに術を授けた、その仙術は。
 無数の雷を周りに落とすものだった、筧もそれをすぐに使ってみて言った。
「どうでしょうか」
「見事」
「そうですか」
「やはり学んでいただけあり飲み込みがよい」
 そうだというのだ。
「術を出すのも速い」
「やはり一瞬の隙がです」
「戦場ではじゃな」
「大きいので」
 だからだというのだ。
「確実を期していますが」
「それと共にじゃな」
「速さも意識しております」
 出すそれをというのだ。
「確かに」
「それがよい」
「そうですか」
「戦はただ術を出すだけではない」
 果心居士自身もこう言う。
「確実に、そしてな」
「速く、ですな」
「そうして出してこそじゃ」
「やはりそうなりますな」
「うむ、そこで速さを意識されるのはな」
 筧のそれはというのだ。
「お見事じゃ」
「それでは」
「より速くな」
「それを目指すべきですな」
「そして術を一つずつ出すのではなく」
「二つも三つもですな」
「出せればな」 
 それが出来ればというのだ。
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