SAO:tr6―お人好し―
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れると嬉しい、かな」
かっこ悪いところもあるけど、弱音を吐いても大丈夫だと思われる頼れるお兄ちゃんに、私は頭を下げてお願いした。
「……たく、しょうがねぇな」
めんどくさそうな口調で言いながらも、クラインは私の頭をクシャクシャに優しく撫でてきた。
「ちょっと、クライン!」
「そう照れるなって。俺のこと兄だと思っているのなら、俺もキリトがやっている様に妹の頭を撫でる権利ぐらいあるってもんだろ。ほんとしょうがねぇ兄妹だよ、お前らは」
それとこれとは違う気がするが……まあ、いいでしょう。許す。
「その変わり、ぜってぇ死ぬんじゃねぇぞ」
「そこは大丈夫だから安心してよ」
「ほんとかよ」
大丈夫。
もう……ちゃんと罪を抱えて生きるって、決めたんだ。生きることが過ちを犯した唯一の償いだからね。
「ん? あれは……」
ふと、目線を兄の方へ向けると、重装備をした一団が上層部へ続く出口へと消えて行くのを捉えた。
「って、おい! あれは『軍』じゃねぇのか!?」
確かにクラインの言った通り、あれは数時間前に見た『軍』の部隊だ。私達の知らない間にやって来たんだろ。
ここには兄達がいる。なら『軍』は兄達をスルーするだけで先へと進んでしまったのか?
……まあ、何があったかは兄に聞いてみるのが一番いいだろう。
私とクラインはさっそく兄達の傍へ戻ることにした。
「たく……二人共やっと戻ってきたか」
「おい、キリの字。今さっき『軍』が出て行っただろ」
「あぁ、実はな……」
兄が言うには、やはり森で見かけた重装部隊の『軍』であった。その『軍』リーダー格である、コーバッツ中佐が当然と言わんばかりマップデータを提供しろと迫られてきたそうだ。アスナはコーバッツの態度が傲慢過ぎたせいもあった様で反対はしたものの、兄はすんなりとマップデータを渡したらしい。兄のことだからトラブルを防ぐつもりで渡したんだろう。
そして出て行く『軍』に、兄はボス戦に挑むのは駄目だと忠告したそうだ。ただ、コーバッツはどこか無謀さを予期させるものがあるとのこと。コーバッツが言うのは私の部下はこの程度で音をあげるような軟弱者ではないと……。
「キリトの話を聞いて思ったんだが……あの連中、大丈夫なのかよ」
「いくらなんでも、ぶっつけ本番でボスに挑んだりしないと思うけど……」
クラインとアスナがやや心配する中、さっきからずっと黙っていたドウセツが口を開いた。
「放っておけばいいじゃない。心配しても無駄だと思うわ」
そしてそれはどう言う意味なのかをこの場にいるみんなに伝えた。
「理由はどうあれ、あの軍のリーダーである彼は目的のみしか見えていない。だから誰かの声も聞く耳を持たなければ
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