SAO:tr6―お人好し―
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しかし、その独特な匂い好きには好まれるので、一部のプレイヤーからは絶賛の美味として賞される。
これを嫌う人達からはドリアンに近いらしい。
「今日のために作ってあげたんだから、ありがたく思いなさい」
「う、うん、あ、ありがとう。でも次からは、オニギリに合う具材で十分だからいれないでね」
と言うか、オニギリの具材じゃなくても出さないでよ。初めて食べたけど、ちょっとトラウマになりそう。うぇ……まだすっぱいよ……。
口直しとして、マヨネーズシーチキン風のオニギリをほおばりついた。
そんでもってか甘味が欲しかったので、兄とアスナの甘い会話を聞くことにした。
「……すごい。完璧だ! アスナ、これ売り出したらすっごく儲かるぞ」
「そ、そうかな」
「いや、やっぱ、駄目だ」
「な、なんで?」
「俺の分が無くなったら困る」
「意地汚いなー、もう! 気が向いたらまた作ってあげるわよ」
…………。
……一応、ここが死地の真っ只中だということも忘れてしまうような穏やかで甘ったるい沈黙が周囲に満ちていた。
その様子を見て私達は、
「無駄以上に甘過ぎるわね。他所でやってほしい」
「うん。ラブコメの如く甘ったるいね……私達も」
「しません」
とりあえず、しょっぱさ欲しさに今度は塩おにぎりを一口入れ、再び口直しをした。……ドウセツのケチ。
「ん?」
不意に下層側の入り口からプレイヤーの一団が鎧をガチャガチャ言わせながら入ってきたみたいで、兄はアスナから瞬間的にパッと離れて座りなおした。
「あれ?」
現れた六人パーティーの野武士のような雰囲気がるリーダーは私の知り合いであり、兄の知り合いでもあり、よく知る私と同じカタナ使いだった。
そして 彼は私達に気がつき笑顔で近寄り挨拶をした。
「おお、キリトにキリカ! 珍しいじゃないかボス戦以外で二人一緒だなんて」
「まだ生きていたか、クライン」
「ちーす、クライン元気だねー」
「相変わらず愛想のねぇ野郎と軽い奴だな。二人共珍しく連れがいるの……か……」
アスナとドウセツ見た途端に、思考が一時停止したみたいだ。初めて会った時もそうだけど、女に対する執着心というやつが半端ないよね。
そしてクラインは明様に完全停止していた。気持ちはわからなくはないけど、明様過ぎではありませんかね。
「おい、急にどうしたんだ」
「おーい、大丈夫ー?」
兄が肘でわき腹をつつき、私はクラインをペチペチ触ると、ようやく口を閉じ、凄い勢いで最敬礼気味に頭をさげてきた。
「こ、こんにちわ! くくく、クラ、クラインという者です! 二十四歳独身」
まるで初めて参加する合コンの自己紹介っぽくするクライン。合コンなんて知識不足過ぎ
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