SAO:tr6―お人好し―
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件については思っていた通りのことを私に言わせたのでしょ?」
「思ってもないし、自分は何も関係ないような言い方するな」
私の発言を聞いたドウセツはあからさまにため息を吐く。
「……仕方ないわね」
「なんで私がわがまま言っているような感じになっているの」
ドウセツは渋々とメニューを開いて小さいバスケットを出現させた。だからなんで私がわがまま言っている様な感じでやっているのよ。
でも、ドウセツが作ったお弁当を食べられるのは非常に嬉しい。朝食のスクランブルエッグが美味しかったから、昼食の時間楽しみにしていたんだよね。
しかも……。
「はい」
「ありがとう。いただきます」
ドウセツから手渡せたのは、角が丸くなった三角系の形にしたおにぎり。
このファンタジーな世界でお米と言うものは大変貴重な食料で滅多に手に入らないようになっている。ドウセツはなんと、貴重なお米をたくさん持っているのだ。
なんでも、一時期お米の大量生産されていた時にほぼ全財産を払って衝動買いしたそうだ。ドウセツがそんなに米が好きだったのは意外だったけど、とてもありがたいことである。だってこの世界、日本食がほとんどないもの。
こうして米を食べられることを感謝して、おにぎりにかぶりついた。
「うん、美味しい!」
懐かしい米の食感、噛むことによって素材の甘さ、そして具は粒々していてちょっとピリッとくる辛さ。まるで明太子の似た味が口に広がる!
明太子風オニギリを二口目で口の中にいれた。
「はい、これ」
「あ、うん。ありがとう」
続いて、二個目のオニギリを一口で中に入れようと、大きく口を開けてかぶりついた。
「んふっ!?」
口から吹き出しそうになったが、何とか口の中だけで爆発を止まらせた。失敗すれば、口から勢い良く米を吹き飛ばしていたに違いない。
で、どういうことですかドウセツさん。お、美味しいけど、何か生臭くて目に染みるような酸味が強すぎて……つ、辛い。おにぎりの具材……食感は間違いなく、おにぎりに入れるべき具材ではない。そもそも食い物なのかすら怪しい物を口にしてしまった気がするんだけど……ほんと、これなに? 口の中がものすごくすっぱいんだけど……。
「当たりよ」
「当たり?」
ドウセツは肉巻きオニギリを食べ終え、お茶を飲む前に具材の種明かしをした。あ、その、肉巻きオニギリ、私も食べたい。
「その具材は、『スカイング・レイ』の燻製よ」
「そんなものオニギリの具材にするな!!」
『スカイング・レイ』とは五十七層と五十八層に生息する、空を飛ぶエイ型のモンスター。酒のつまみにとてもよく、燻製が一番合うが酸味が強すぎる。下手をしたら麻痺になりかねない刺激的な食材。
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