囚われた少女
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金色の鉄柵によって作られた鳥籠が1本の木枝から吊るされていた。
その中にはベッド、小さなテーブル、椅子、そして……シノンの姿。
「……あの下衆男が。」
先程まで近くにいた須郷……ではなく妖精王オベイロンに何故自分がここにいるのかと問いただしていた。
『やぁ、ティターニア。』
『……それ、本来私じゃない人に言うつもりだった癖によく言えるわね。』
『そんな事は無いさ、僕が捕らえたかったのは君だからね。じゃないと彼が使えなくなる。』
『彼?』
『あぁ、君には紹介しておかないとね。』
そう言って須郷はウィンドウを操作して、ある言葉を発した。
『アレクト!』
コツコツと靴の音がして、私は音がした方に視線を向ける。
真っ黒なマフラーを付けて口元が隠れ、黒髪と赤髪が混ざったアッシュの髪の毛に右眼は黒、左眼は赤で髪の色と同じ色。
服装はどこかのおとぎ話にでも出てくるような服装で夜を感じさせた。
『あ、蒼……!?』
『やはり、彼を知っていたねぇ?』
『蒼に何したのよ!』
『何もしてないよ、したとすると。』
そう言って須郷は彼の肩に手を置いて不敵な笑みを浮かべながら……
『記憶を全て消して、新たな人生を歩んで貰ってるだけだよ?』
『貴方……なんて事をしてくれたのよ……!』
私は涙を流した。
彼が生きていた、それはとても嬉しいのに変わってしまっていた。
『ほら、自己紹介しなよ。』
そう言って須郷は蒼に話す。
私は彼に質問をした、最愛の人の名前を。
『………アスナも覚えてないの…?』
『………知らない……アリスが呼んでる。』
『……蒼…!』
そう言って私の言葉に気もくれず立ち去った。
『ほらね?今の彼には守るべきものがあるのさ、諦めなよ。』
須郷は高笑いをして外に出ていった。
「……須郷、アンタは絶対に許さないわよ……!」
私の声は聞こえない。
アスナの名前も覚えてない。
全てが変わって戻ってきた彼をどうすればいいのだろう。
私は顔を伏せて、願った。
──もう1度彼の笑顔が見れる事を……
その頃ある城内では。
「おや、彼が帰ってきたようだ。」
「!」
真っ白な髪の毛の少女が走り出す。
「アリスは彼が好きなんだなぁ〜」
と言いながら、帽子屋は紅茶を飲み続けた。
「チェシャ!」
「アリス。」
チェシャと呼ばれた少年、先程まで須郷に呼び出されて外にいた少年はアリスに微笑む。
「うさぎさんは外?」
そう言われた少年は頷いた。
「そっか……」
「ごめんね、俺も
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