Lv61 魔王アシュレイア( i )
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いッ! その証拠をッ!」
「いいとも。でも、その前に、1つお願いしてもいいかい?」
「お願い?」
「ああ」
俺はそこで、道具袋の中から、布に撒かれたあるモノを取り出した。
ミロン君は首を傾げる。
「なんですか、それは?」
「これがその証拠なんだけど……その前に、ちょっとお願いがあるんだ。俺さ、さっき手を怪我しちゃったんだよね。ミロン君のホイミで治療してくれないか?」
俺はそう言って、ブツを持つ右手の甲を指さした。
右手の甲には、かすり傷が少しある。ちなみにだが、これはドラゴンライダーとの戦闘でついた傷だ。
「なんで僕が、そんな事を言う、貴方の治療をしないといけないんですか……」
「ま、そういわずにさ、頼むよ。いいだろ、ホイミくらい」
「……わかりましたよ……ホイミ」
ミロン君は面白くなさそうな表情で、檻の入り口に来ると、そこから手を伸ばし、渋々ホイミを使ってくれた。
檻の中だと、呪文を無効化させるからだろう。
まぁそれはさておき、俺の右手の傷はホイミによって癒されてゆく。
「ありがとう、ミロン君。では、証拠を見せてあげるよ」
そして俺は、右手に持つブツに撒かれた布を解いたのである。
中身が露になる。
布を解くと、そこには光を発する物体があった。
ミロン君はそれを見るや否や、目を大きく見開いた。
「そ、それは……まさか……」
アヴェル王子は驚きの眼差しで、その物体の名を口にした。
「光の王笏が……か、輝いている……コータローさんの言った通りになった……」
この現実を目の当たりにし、ウォーレンさんは額に手をやり、苦しそうに言葉を紡いだ。
「や、やはりそうなのか……ミロン……お前が……」
「クッ……」
ミロン君は悔しそうに下唇を噛んだ。
「これが証拠だよ、ミロン君。今は切れ端みたいな感じだけど……君もこの杖についてはよく知っているよね。ここに来る前、この杖を作ったレオニスさんに聞いたよ。そしたら、レオニスさんはこう言っていた……光の王笏はアズライル猊下の為に作られたモノだとね。そして、こうも言っていたよ。この光の王笏は、猊下の魔力によってのみ水晶球が光り輝く、教皇の証たる杖だとね……」
俺はそこで話を一旦切った。
程なくして、水晶球から光が消えてゆく。
それを見届けたところで、俺は話を続けた。
「そう……この杖はね、アズライル教皇以外には使いこなせない杖なんだよ。では、なぜ今、この杖は光り輝いたのか? それは即ち、たった今、アズライル教皇の魔力に反応したから、という事に他ならない。では一体いつ、そんな魔力とこの杖は接触したのか? ……それは、今しがた、ミロン君が唱えたホイミの魔力によって、反応したと考えるのが自然だ。言っておくけど、俺の魔力では反応はしないよ。論より
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