Lv60 暗黒の瘴気
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[T]
魔の島に上陸した俺達は、林の中に伸びる道を進み続ける。
それは怖いくらいに順調であった。なぜなら、魔物達は一向に姿を現さないからだ。
一緒にいる者達は皆、どこか釈然としないに違いない。
その証拠に、これだけ順調に進んでいるのもかわらず、全員、何とも言えない表情をしていた。
(妙だ……何か嫌な予感がする……)
ふとそんな事を考えていると、隣にいるアヴェル王子が俺に囁いた。
「コータローさん……ちょっと静かすぎると思いませんか? 船で移動を始めてから、ここまで、魔物が1体も現れません。……なにか、胸騒ぎがします。我々は既に、魔物達の罠の中に入っているような気さえしますよ……」
「……かもしれませんね。何れにしろ、ここは敵地ですから、この先、何があるかわかりません。気は緩めないでおきましょう」
「ええ」
ここにいる者達は皆、こういった不安を抱いているに違いない。
(さて……この先、一体、何が待ち受けているのやら……このまますんなりと、ミュトラの聖堂内に入れるわけはないとは思うが……)
魔物が現れない違和感を抱きながら道を進んでゆくと、俺達はいつしか境界門へとやってきていた。が、しかし……俺達はそこで、異様な光景を目にする事となったのである。
全員、そこで足を止めた。
至る所から、驚きの声が上がる。
【なッ、これはッ!? なぜこんなところに、騎士の石像がある!?】
【なんだ、この石像は!?】
【騎士だけじゃないッ、魔物の石像もあるぞ! なんだこれは……】
そう……なんと、境界門の周辺には、魔導騎士の石像や、彷徨う鎧のような魔物の石像が、幾つも置かれていたのである。
それは生々しい石像群であった。
ある騎士は勇ましく剣を構え、ある騎士は魔物に向かって呪文を唱えるような仕草をしている。また、とある騎士は、魔物を剣で斬りつけるような動作をしていた。それはまるで、今にも動き出しそうなほど、不気味でリアルな石像達であった。
それだけではない。なんと、これらの周囲には、草や木の石像まで置かれていたのだ。
その為、この一帯が石像といっても過言ではない状況となっていたのである。
(まるで等身大サイズのジオラマだな……なんつー生々しい石像群だ……つか、なんでこんなモノがここに……)
と、そこで、魔導騎士の1人が石像に近づき、驚きの声を上げた。
【こ、これは、ラースラじゃないか! なんでラースラの石像が、こんな所に……】
どうやら、知り合いの騎士の石像のようだ。
(って……まさか、この石像は!?)
と、その時である。
不気味な笑い声が、境界門の奥に広がる前方の林から、聞こえてきたのであった。
【クククッ、素晴らしく美しい石像だろう。これほどのモノはないという程にな】
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