Lv60 暗黒の瘴気
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共に、騎士は前屈みになり俺を睨みつける。そして、剣を抜いた。
(今だ!)
俺は魔導の手を使い、前傾姿勢になった騎士の首に見えない手を伸ばし、思いっきり引き寄せた。
【かッ、身体が引きずられる!】
魔導の手によって、磁石のように俺と騎士は急接近する。
この突然の現象に、騎士は俺の接近にも気づかないくらいに慌て、竜から落ちないように踏ん張っていた。
その為、奴は隙だらけであった。
(胴がガラ空きだよ)
俺は間合いに入った瞬間、魔光の剣を発動させ、騎士の胴を薙いだ。
【ギョェェ】
断末魔の声と共に、騎士はゆっくりとドラゴンから落下してゆく。
そして俺は、手綱に魔導の手を伸ばし、ドラゴンの背へよじ登ったのである。
乗っ取り成功ってやつだ。が、しかし……そう思ったのも束の間であった。
なぜなら、ドラゴンは俺を振り落とそうと、激しく上下左右に蛇行し始めたからだ。
「うわっ……ちょっ……チッ、暴れんなッ、この糞ドラゴン!」
それはまるで、悪路を走行する車の中にいるような感覚であった。
俺は振り落とされないよう、跨る両足の太ももをギュッと締め、踏ん張った。
暫くすると、ドラゴンは大人しくなってゆく。
だがそれと共に、今度は妙な耳鳴りがし始めたのである。
(な、何だこの耳鳴りは……グッ……眩暈がする……)
と、そこで、胸元にいるラーのオッサンの声が聞こえてきた。
「コータローよ、気を付けろ。この竜は、お前の心を乗っ取ろうとしておる。我を外に出せ、まやかしを解いてやろう」
「た、頼む」
俺は頭を押さえつつ、ラーのオッサンを外に出した。
ラーの鏡は眩く一瞬光輝く。
するとその直後、あの嫌な耳鳴りもスッと消えていったのである。
今の光で、まやかしを打ち消したのだろう。
「た、助かったよ……ラーさん。しかし、まさか、竜が俺の心を乗っ取ろうとしてくるなんて……」
「この竜は、魔の世界の戦士しか乗りこなせんのだ。あまり無茶をするな。例の書物とやらには書いてなかったのか?」
「ごめん、初めて知ったよ」
こんな設定は初耳である。
「まぁいい。とにかく、この竜を操ろうなどとは思わぬ事だ。この世界の者には乗りこなせん」
「マジかよ……ここにきて手詰まりなのか……クソッ」
俺達がそんなやり取りをしていると、前方にいるドラゴンライダー達の話し声が、風に乗って聞こえてきた。
【チッ……コータローとかいう、面倒な奴が空に来やがった。グズグズしておれん。おい、ディラックのマグナを使うぞ! 雨雲の杖の力を解き放てッ!】
【マグナはあと1回分があるかないかだった筈……この散らばり具合では1度で始末できんぞ。いいのか?】
【構わん。もう、ここでしか喰い止められん。それに、アシュレイア様からは、最低
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