Lv59 決戦の地へ
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それはアヴェル王子やレイスさん、そしてシェーラさんも同様であった。
(こんな話を聞けば、誰だって嫌な気分になるだろう。無理もない。だが……これは避けて通れない話だ。皆には半信半疑でも、今は受け止めてもらうしかない……)
「コータローさん……あ、貴方は……確信を持って仰っているのですか?」と、アヴェル王子。
「はい、確信を持っています。それ以外に考えられませんから」
俺がそう答えた直後、この場は更に重苦しい雰囲気へと様変わりした。
アヴェル王子やウォーレンさん、そしてレイスさん達は、まるで死の宣告を受けたような表情であった。
そんな中、ヴァロムさんが口を開いた。
「しかし、コータローよ……今の話が本当だとして、どうやってそれを暴くつもりじゃ? 何か手はあるのか?」
俺はそこで、謎を解くカギとなるアイテムを道具袋から取り出した。
ちなみにだが、そのアイテムは今、布で包まれている状態である。
ヴァロムさんが訊いてくる。
「なんじゃ、それは?」
「これが、今の話を証明してくれる筈です」
そして、俺は布を解き、この場にいる者達に、鍵となるアイテムを晒したのである――
[W]
話し合いを終えた俺達は、周囲の警戒にあたる為、船室を出て甲板へと戻った。
外は雲一つない青空が広がっており、穏やかなそよ風が、俺の頬を優しく撫でてゆく。
そこで、のんびりと背伸びしたい気分になったが、ここはもう魔物が支配する領域。常に周囲に気を配らねばならない所である為、俺は気を引き締めた。
(魔物の姿は見えないが、とりあえず、いつでも魔法を使えるよう、魔力のコントロールはしておこう……)
周囲に目を向けると、キビキビとした動作で警戒にあたる魔導騎士達の姿があった。
全員が手練れの騎士なので、頼もしい事この上ないが、少し気がかりな事があった。
それは何かというと、この甲板には魔物と戦った形跡がないという事である。
俺は隣にいるアヴェル王子に確認をした。
「アヴェル王子、見たところ、戦った形跡がないですが、魔物とはまだ遭遇していないのですかね?」
「ええ、実はまだ一度も現れてないのです。変だと思いませんか?」
「一度もですか……確かに妙ですね」
湖を進み始めて20分ほど経過したが、魔物が1体も襲ってこないというのは、少し変である。
「王子、魔の島まで、あとどのくらいでしょうか?」
「もう少しですよ……アレがそうです」
アヴェル王子はいつにない険しい表情で、斜め前方を指さした。
王子の指先を追うと、黒い点のように見える小さな島が俺の視界に入ってきた。
(あの位置だと、到着まで、恐らく、10分くらいか……そろそろだな……)
と、そこで、アヴェル王子は面白くなさそうに言葉を発
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