暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv59 決戦の地へ
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
また、船の動力は人力であった。つまり、ガレー船というやつである。
 漕ぎ手は魔導騎士の方々が担ってくれた。
 俺は漕がなくてよかったので、少しホッとしているところである。
 つーわけで話を戻そう。

 船が動きだしたところで、ヴァロムさんが俺に耳打ちをしてきた。
「コータローよ、一緒に来てくれぬか。ラーさんと共に、話したいことがある……」
「わかりました」
「では、ゆこう。こっちじゃ」
 ヴァロムさんは船室がある一角に向かって歩き出した。
 俺はヴァロムさんの後に続く。
 ヴァロムさんは、甲板上に設けられた船室の1つへと行き、扉を開く。そして、中に入るよう促してきた。
 俺はそこに足を踏み入れる。
 するとそこは、6畳ほどの飾りっ気のない簡素な部屋であった。幾つかの木箱みたいなモノが、部屋の片隅に置かれている。多分、物置として使っている場所なのだろう。
 ヴァロムさんは扉を閉めた後、木箱に腰かけ、囁くように言葉を発した。
「……では、コータローよ。早速で悪いが、ラーさんを出してくれぬか」
 俺は頷き、胸元からラーさんを取り出した。
「さて、ラーさん……魔物達は貴方の予想通り、魔の島へと進路をとった。そこで聞きたいのだが、魔の島に渡った後、我らはそのまま魔の神殿……いや、ミュトラの聖堂に向かえばよいのじゃな?」
「ああ、そのままミュトラの聖堂に向かってほしい。恐らく、そこが決戦の地となろう」
「そうか。ならば、確認したい事がある……もうこの先、悠長に話し合う事は出来ぬであろうからの」――


   [U]


 俺達が話を始めて10分ほど経過した。
 魔の島までは30分くらい掛かるらしいから、まだそれほど進んでいない。
 だが、さっきから少し気掛かりな事があった。
 それは何かというと、船内が静かという事であった。全くといっていいほど、慌ただしい雰囲気を見せないのである。
(これだけ進めば、普通は何回か戦闘がありそうなもんだが……全然そんな気配はないな。どうなってんだ、一体……後で甲板の方に行ってみるか)
 ふとそんな事を考えていると、ラーのオッサンの檄が飛んだ。
「――恐らく、中はそういう事態になっておる筈だ。って……コラッ、聞いてるのか、コータロー! 我は今、重要な話をしてるのだぞ!」
「ああ、ちゃんと聞いてるよ」
「フン……なら、我が何の話をしていたか、言ってみろ」
 居眠りしてる奴を見つけた時の先公みたいな事を言ってきやがる。
 まぁいい。話は聞いてたから、言ってやろうじゃないか。
「疑り深いな……ちゃんと聞いてたよ。魔物達が施した魔の世界とこちらを繋げる結界が、ミュトラの聖堂の中にあるって事と、広大な範囲に影響を与えるその結界の発動は、基本的に、結界を施した者以外には発動できない
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ