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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv58 眠れる城の貴族
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、変化は俺にも現れた。
 背筋にゾゾッと寒気がくるような、冷たい何かが、俺の身体に纏わりついてきたのである。最悪な気分であった。
(こ、これは……なんだ、急に身体が重たくなってきたぞ。頭もボーっとしてきた。おまけに寒気も……。まるで風邪で高熱をだした時のような感覚だ……。まさか、これが呪いというやつか……クッ)
 ゲームならば、今確実に、あのトラウマ効果音が流れていた事だろう。
(クソ……意識をしっかり持て!)
 俺は自分にそう言い聞かせ、眠っている者達へと視線を向けた。
 すると黒い煙は消えており、杖を使う前の状態へと戻っていた。
 どうやら煙は、俺の前にいる全ての人に行き渡ったようだ。
(……これ以上は変化がなさそうだし、もうそろそろいいかな。さて……ではやってみるか……あ〜体が重い……)
 俺は怠い身体を何とか動かし、先端に付いている水晶球に手を触れ、魔力を籠めた。
 と、その直後、眠っている人達から先程の黒い煙が現れ、まるで動画を逆再生したかの如く、杖の水晶球へと吸い込まれるように戻ってきたのである。
(お、おう……なんか知らんが、凄い光景だな。多分、夢見の邪精というのを杖が回収してるんだろう……)
 先程と同様、ギャラリーから声が上がる。
【おお、何だあれは……杖にさっきの煙が吸い込まれてゆくぞ!】
 驚くのも無理はない。使った俺自身も驚いているのだから。
 それはさておき、黒い煙は1分ほどですべて回収された。
 シンとした静寂が、辺りに漂い始める。
 ここにいる者達は皆、眠っている太守達を無言でガン見していた。
 10秒、20秒と時間が過ぎてゆく。
 と、その時であった。

【……ううう……うう……】

 倒れている人々の中から、寝言のような呻き声が聞こえてきたのだ。
 またそれと共に、ゴソゴソと動く者や、寝返りをうつ者も現れたのである。
(……うまくいったのかな……さっきまでは微動だにしなかったし……)
 俺はラーさんに小声で確認した。
「ラーさん……成功か?」
「ああ、成功だ。この者達からは邪精の気配はなくなっている。思った通り、うまくいったようだな」
 俺はそこでヴァロムさんに視線を向け、無言で頷いた。
 ヴァロムさんは頷き返す。
 そしてヴァロムさんは、隣に佇むヴァリアス将軍に告げたのである。
「将軍、もう呪いは解かれたようじゃ。皆を起こすとしよう」――

 その後、王族や太守、そのほかの貴族達は、魔導騎士と宮廷魔導師達によって、全員が目を覚ました。
 俺はそのドサクサに紛れてここを離れ、ラーさんに呪いを解いてもらった。
 すると、まるで憑き物が落ちたかのように、身体は軽くなり、熱っぽい感じも嘘のように消えていったのである。
 それから杖だが、呪いを解いても、俺の手
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