Lv58 眠れる城の貴族
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たが……このオッサンは何かを隠してる節があるんだよな……もしかすると、このオッサン……いや、詮索はやめておこう。とりあえず、このゴタゴタが終わった後だ。まずは杖を出そう……)
俺は周囲を確認した後、フォカールを唱え、深紫色の水晶球が付いた怪しい杖を取り出した。
(はぁ……俺が呪いを施す事になるとはな……。あんまやりたくないけど仕方ない。……覚悟決めるか)
とまぁそんなわけで、杖を取り出した俺は、そそくさとヴァロムさんの元へ戻ったのである。
現場に戻った俺は、ヴァロムさんに話し合った内容を報告した。
「――というわけです。どんな反動が来るかわかりませんが、この杖で試してみようと思います」
ヴァロムさんは申し訳なさそうに言葉を紡いだ。
この杖を使う反動で、呪いが掛かると聞いたからだろう。
「そうか……お主には苦労をかけっぱなしになるの。すまぬが、試してみてくれぬか。先程から時間が経過しているにもかかわらず、起きる気配がないからの」
「ええ、とにかく試してみます」
そして、俺は眠り続ける人達の元へと向かったのである。
と、そこで、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「コータローさん、一体何をされるのですか?」
声の主はアヴェル王子であった。
俺は王子に杖を見せ、簡単に説明をした。
「この杖を使ってみます。以前、とある魔物と戦って得た戦利品なのですが、もしかすると、この方々に掛けられた眠りは、これと同じような魔導器によってもたらされたモノかもしれませんので……」
ディオンさんの訝しげな声が聞こえてくる。
「父上、良いのですか? あの捻じれた杖からは……なにやら、禍々しい雰囲気を感じるのだが……」
「構わぬ。じゃが、今はコータローに近寄るでないぞ。コータローの話によると、あれは魔物達が作った呪われた武具のようじゃ。力を開放することによって、何が起きるかわからぬからの」
【なッ!?】
それを聞くなり、全員が息を飲んだ。
そして、この場にいる者達は、そそくさと、俺との距離を取り始めたのである。
なんとなく、ボッチになった気分であった。
(なんかすげぇ悲しい……俺が避けられてるみたいな気分やわ。しゃあないか……呪いなんて聞いたら、誰だってこうなるわな。はぁ……さて、やるか……怖いけど……)
俺は恐る恐る、眠っている群衆に杖を掲げ、柄に魔力を籠めた。
と、次の瞬間!
杖の先端部にある紫色の水晶球から、黒い煙のようなモノが噴出したのである。
水晶球から現れた煙は、眠らされている人達に覆いかぶさるように纏わりついてゆく。
周囲から、驚く声が聞こえてきた。
【杖から、禍々しい何かが出てきたぞ!】
【なんなんだあの杖は……】
あんな話聞けば、誰だってそう思うだろう。
まぁそれはさておき
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