Lv56 真実の姿 ( i )
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の前の塵に同じ……」
アズライル教皇はキツネにつままれたような表情をしていた。
それはここにいる者達全員がそうであった。
まぁこの反応は当然だ。平家物語の冒頭部分なんぞ知る由もないだろう。
教皇が怪訝な表情で訊いてくる。
【……何ですか、今のは?】
「俺が住んでいた所に伝わる、古い格言みたいなもんですよ」
【ほう……それはそれは……で、どのような意味の格言なのですか?】
「言葉は長いですが、簡単な意味ですよ。……どんなに力を持った者でも、いつかは衰えて塵のように消えゆくという、昔の人が残したありがたいお言葉です」
それを聞き、アズライル教皇は真顔になった。
言わんとする意味が分かったのだろう。
俺は続けた。
「あ、そうそう、懺悔の言葉でしたね。……ねぇよ、んなもん。以上」
辺りにシンとした静寂が漂う。
【フッ……フハハハハ……どうやら、この異端者達には、贖罪の炎以外、救う手段は無いようですね。では、これまでにしましょうかッ!】
アズライル教皇はそう告げるや否や、光の王笏を真上に掲げた。
するとその直後、杖の先端にある水晶球から、眩い光が放たれたのである。
【女神イシュラナの代弁者たる教皇アズライルの名によって命ずる! これより、この異端者達を火炙りの刑とする! 続いて、この異端者達の協力者をここに連れて参れ!】
教皇がそう告げた後、俺達がやってきた後ろの扉が開く。
そして、扉の向こうから、俺のよく知る人々が現れたのである。
「クソッ、離しやがれ!」
「なんで俺達がこんなところに連行されるんだ」
「ちょっと、どこよ、ここ!」
「なんで俺達がこんな目に!」
「儂のような年寄りに、一体何をするつもりじゃ!」
「おばあちゃん、怖いよう……」
それは、俺が一度は関わった人達であった。
ラッセルさん達やバルジさん達、そしてボルズにグランマージの店主と孫娘。それらの人々が手錠に繋がれ、神官や魔導騎士達によって、連れて来られたのである。
(まさか、こんな手を使ってくるとは……)
全員が俺の顔を見て、驚きの表情を浮かべた。
「あ、貴方はコータローさん。なんで貴方がここに!」
「コータローさんも捕まったの!?」
「ちょ、ちょっと……ヴァロム様までいるわよ!」
「ここはまさか……」
神殿管理官の大きな声が響き渡る。
【静粛に! 異端者達よ、口を噤むのだ!】
ピタッと静かになる。
と、ここで、ボルズが声を荒げた。
「どういうことだよ、一体! なんで俺達がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!」
【そなた達は、この異端者と行動を共にしていた。よって、そなた達も異端者と認定することにした。つまり、同罪ということだ!】
ラッセルさん達は非難の声を上げる。
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