Lv56 真実の姿 ( i )
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子、異端者コータロー。両名共に、贖罪の丘にて火炙りの刑とする……。以上でございます】
この言葉を聞いた直後、周囲がざわつき始めた。
【静粛にッ! 皆様、静粛にッ! まだ儀は終わっておりませぬぞッ!】
神殿管理官の言葉を聞き、また先程の雰囲気へと戻っていった。
静かになったところで、神殿管理官は続ける。
【オホン! では最後に、アズライル猊下より、お言葉がございますので、皆様、静粛にお聞き頂けますよう、よろしくお願いいたします】
神殿管理官と入れ替わり、アズライル教皇が俺達の正面にやってきた。
アズライル教皇は俺達を見た後、天井に描かれた女神の絵に向かって両手を大きく広げ、厳かに言葉を紡いだ。
【……遥かなる天上より、慈愛の光にて世を包み、我等を見守りし女神イシュラナよ……今ここに、貴方様の意思を踏みにじる者が現れました。しかし、ご安心ください。この者達は必ずや悔い改め、貴方の忠実な子となり、貴方様の元へと戻る事でしょう。願わくば……この者達に貴方様の加護と祝福の光があらんことを……】
教皇はそこで両手を下げ、俺達に向き直った。
そして、人の良い笑顔を浮かべ、俺達に告げたのである。
【さて、異端者ヴァロム・サリュナード・オルドラン、そしてコータローよ。そなた達は、異端階級で最も忌むべき破戒の徒という認定を受けたわけであるが、恐れる必要はありません。そなた達はこれより、女神イシュラナがいる天上界へと旅立つのですから。心より贖罪し、過ちを悔い改めなさい。さすれば、女神は必ずや、貴方達を受け入れてくれる事でしょう。ですがその前に……】
するとアズライル教皇は、ニヤッと嫌らしい笑みを浮かべたのである。
【貴方がたの口から、ここで懺悔の言葉が出てくるのであれば、私の権限を持って、贖罪方法を軽くすることを検討しても良いと思っております。どうしますか?】
ヴァロムさんは即答した。
「懺悔なんぞ、するつもりないわい」
【そうですか……それは残念です、ヴァロム殿。では、そちらのアマツの民の方はどうですか?】
「そうですねぇ、俺も……」
と、言いかけた時であった。
遠くから、イシュラナの鐘の鳴る音が聞こえてきたのである。
俺は思わず、その方向へと視線を向けた。
教皇の声が聞こえてくる。
【どうしました? 鐘の音がどうかしたのですかね?】
この鐘の音を聞いて、思い出した言葉があった。
それは小学校の頃に暗記した言葉であった。
今の心境にピッタシだったので、俺はそれを少しアレンジして、教皇に告げたのである。
「……イシュラナ大神殿の鐘の声、諸行無常の響きあり……沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす……おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし……たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風
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